岡山弁の動詞絡みの規則性を調べていると岡山弁の一番の特徴が動詞の語尾にあるのではないだろうかと思うようになりました。現在形は元より現在進行形、過去形、完了形、未来形、がありますので。そのあたりの事は岡山弁の特徴と題して別に記述しています。
また当サイト立ち上げ時のページを調べてみますと方言と民俗のページが別々にあったようなのですが、いつの間にか民俗のページを取りこぼしていたようなので、岡山の民俗と題してこちらに再掲してみました。
さて、方言は、時代によって解釈も違っています。江戸時代に書かれた方言辞典の物類称呼では、京都言葉が標準語で東国言葉は方言の扱いでした。残念ながら岡山県が都になった事はありませんので、いつの時代も岡山言葉は方言でした。
岡山言葉と言っても、岡山県は江戸時代まで、備前(南東部)・美作(北東部)・備中(西部一帯)の三国に分かれていましたので、 これらの地域により言葉にかなりの違いがありました。集まった方言を並べてみますと南北に連なる備前・美作・鳥取の方言はかなり類似があるような気がしますし、東の播州方言と西の備中方言はそれなりの違いを持った言葉になります。だから備前からすれば備中弁より鳥取弁や出雲弁の方が分かり易かったりする事があります。
岡山の方言と申しましても、ここでは備前方面で昭和初期から昭和三十年代に使われていた言葉を中心に取り上げています。 昭和三十年代はテレビが登場していましたが、まだまだ高価で一般に普及していませんでした。 やがて昭和四十年代になるとテレビの普及に伴い、言葉の興廃の速度が速くなり、覚える先から消えてゆくようになりました。ですから、そのような言葉は多少の例外を除いては取り上げていません。
備前の方言も歴史と無関係では無いようで、明治時代の半ば岡山まで鉄道が通り山陽鉄道から山陽本線へとなるにつれ、それまで活発だった海運が衰えてきます。海運の中継地であった吉井川河口の西大寺や備前南東の港町牛窓は古い形の方言が残っていたりしますが、鉄道が通った備前北部の方では東西の物流の影響か関西方面の言葉が結構入っていたりします。
備前以外の地域、備中や美作につきましては原則、その地域出身者の話を元にするようにしていますが、それが無理な場合にはなるべく出典を明らかにするようにしています。備前と申しましても、邑久から和気にかけてを標準としています。場所について言及していない場合には備前の方言で、それ以外の地域につきましては場所を記載するように心懸けたつもりです。記載は私の記憶(一人称)が最優先で、次が人から聞いた場合(三人称)、書物などの記述は最下位の取り上げ方しかしていません。
旧仮名遣いの「わ」行に「わ・ゐ・う・ゑ・を」があります。これを学校では「わ・い・う・え・お」と発音すると教えられます。しかし現実には「い」と「ゐ」、「え」と「ゑ」は別の音でした。「ゐ」の音は「う」と「い」を同時に発音し、「ゑ」の音は「う」と「え」を同時に発音するような音になります。そういう理由から本文では「ゐ・ゑ」についてある程度言及している箇所があります。
辞書にあるから方言では無い、辞書に無いから方言だ、というような取り上げ方の基準はありません。ただ、いったんここに登場させた言葉の一割強は、その後見直しの際に各種の理由により削除しています。また、語彙は「五十音順」に並べていますが例外もあります。もしもお探しの語彙が見当たらない場合にはブラウザーのページ内検索の機能を使って調べると見つかるかもしれません。
方言
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あおのけ | あおむけ(仰向け)の意。 | **** |
あかん | 駄目だ、の意。 使用頻度は「おえん」ほど高くないと思われる。 |
あかんがや(駄目じゃないか)。 |
あくち | 口角炎の事。 アクセントは無いか、「ち」にある。 体力の低下とは無関係である。 シモヤケの一種と考えた方がいい。 |
くちゅーねぶるばーしょーるけーあくちが切れるんじゃ(口をなめるばかりしているから口角炎を起こして口角が切れるんだ)。 |
あーさん | 正式には「あんさん」。訛って「あーさん」となる。あまり親しくない男性に使う二人称「あなた」の意。親しい男性に使う2人称は「おまえ(おめー)」。少し若い男性の二人称としては「にーさん(にいさん)」を使う。 この辺りの表現は全国区かと思うが一応挙げておく。 |
人称には、男性・子供・親しさで使われる言葉が違う。 女性用2人称にはそれぞれ「ねーさん」、「あんた」。 子供用2人称には「僕(男児用)」「じょうちゃん(女児用)」。 |
あげる | 嘔吐する事。 あるいは「げーがでる」とも言う。 アクセントは「げる」にある。 ●「えずく(吐く)」とは昭和40年代に「めばちこ」よりやや遅れて関西方面から岡山に到着した言葉。 |
いたんだもんをくやーあげるねぇー(腐りかけた物を食べれば嘔吐するだろう)。 |
あしたり | 明日、の意。 アクセントは無し、あるいは「り」にある。 ちなみに、昨日は「きにょー」、一昨日は「おとつぃー」と読む。 この言葉は今日を起点にしているが、今日でない特定の日を起点にする場合は「あけのひ」と云う。 |
●あしたりゃー雨がうだろーぜー(明日は雨が降るだろう)。 ●おおみずがあったあけのひにがけがくずれた(洪水の翌日に崖崩れ)。 |
あずる | (1) 眠ったままあちこちに転げ廻る事。 (2) 苦労するの意。 アクセントは「ず」にある。 |
(1) わりー夢をみてあずりもーた(悪夢をみて【眠ったまま】輾転反側した) 。 (2) 旅行の途中でさいふーおてーてあずりもーた(旅行の最中に財布を落として苦労した)。 |
あたり | 体の突出部の一部が赤く腫れたり、痛むようになったりする事。足では靴ズレなどの場合が多いが、腸骨などでは褥創の前触れだったりする。 アクセントは「り」にある。 |
きにょーなごーありーたけー、足がいとーてなぁ(昨日長く歩いていたので、足が痛くなったよ)。 あんた、そりゃーあたりができたんぞな。 |
あたりがけ | 何かに腹をたてて意地悪する事。 備前方言との事(*1および*2)だが、未確認。 備中方面では老人語としてわずかに残るよう。 |
夜這いで複数の男が行き会った場合、事が成就しなかった男の方では娘の家の井戸に籾殻や油を投げ込んで意地悪をしたが、これを「あたりがけ」と云った(*3)。 「仕返し」「八つ当たり」「逆切れ」といった意味。 |
あて | 酒の肴。 アクセントは「て」にある。 「酒のあて」とも云う。 |
あてをなんにしょーかの(酒の肴を何にするかな)。 |
あてっぽこ | あてずっぽう。 アクセントは「てっぽ」にある。 |
あてっぽこばーゆーめーに、ちーたぁ勉強ぅせー(いいかげんな事ばかり言わないで、少しは勉強しろよ)。 |
あのけんだまーとる | 仰向けにひっくり返る、あるいはひっくり返って手足をジタバタさせている状態。 乳幼児がひっくり返った時によく使われた。 仰向けになる事を「あおのけ」と云うから、本来は「あおのけだま」なのでしょう。これから二番目の「お」が抜け落ちて「あのけだま」になったのでしょう。 |
亀さんがあのけんだまーとっとる。 |
あまる | 腐る、という意味との説が多いが、厳密にはそうでは無い。 備中〜備前南部(児島方言 *2)の方言。 備中の中国山地でも使われる。 備前では児島以北では「すえる」を使う。 アクセントは「る」にある。 |
●リンゴがあまる。 ●飯があまる。 *板があまる。 *柱があまる。 これらの内●印とは云うが、*印とは云わないとの事。 つまり「あまる」とは「醗酵する」という意味が正解のようだ。 |
あやくる | 操る事。 「あやつる」と言っても猫をじゃらしたりする事。 アクセントは「く」にある。 関西方面でも使われていたようだ。 |
●うめーげに、えてこーを、あやくりょーらぁ(上手にサルをあやつっているなぁ)。 ●あかごが毛玉をあやくりょーる(赤ちゃんが毛玉とじゃれている)。 |
あらから | 最初から。 「はなから」を使うようになる前は「あらから」を使っていたかと。 アクセントは前の方の「ら」。 |
あらからうそばーつきょーたんか(最初から嘘ばかり言ってたのか)? |
あらつか | 物事を乱暴に扱うという意味の形容動詞 アクセントは「ら」にある。 |
犬をあらつかにしょーりゃーかぶられるんじゃーけ(犬を乱暴に扱っていると咬まれるんだから)。 |
ありんご | 蟻、の意。「ありんこ」とも。 アクセントは「ご」にある。 |
昆虫 |
あわす | 渋柿の渋抜きをする事。 アクセントは「わ」にある。 |
この柿ゃまだあうぇーてねーけー食べられん(この柿はまだ渋抜きしてないから食べられない)。 |
あんき |
気楽。 |
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あんごぅ・ あんごう |
●阿呆、の意。 |
谷啓主演の「図々しい奴」という映画の続編の中で「あんごたれ」が使われています。 |
あんさん |
「あなた」の意。「あーさん」を参照の事。関西方面でも使う。 |
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あんじょう |
元気、健康。 |
●あんじょうやってーよ(元 気でね【別れの言葉】)。 |
あんばよう・ |
●すっかり。 |
●あんばよー、銭ねーなった(すっかり銭が無くなった)。 |
いがいが・ |
稲刈りした後「いが」が服の中に入ってかゆい様。その他「いが」のために出来たと思われる 赤いミミズ腫れを「いがいがが出来た」と云う。「いごいご」はかゆみのために体をくねらせる様。転じて体をゴソゴソ動かす事。 |
いがいがするけー風呂へへーらぁ(かゆいから風呂へ入るよ)。いごいご動くなぁ。 |
埋まる、の意。 |
● はたきょーあるきょーったらじるーて足がいかってしもーた(畠を歩いていたら、地面がぬかるんでいたので足が地面に埋まってしまった)。 |
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●叫ぶ、わめく。 |
いがるな(わめくな)。 |
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いがやる |
作物がうまく育たない事。いがやって育つ、などと言う。まったく育たないのではない。病害虫のために矮小な成育をする場合が典型。 |
●ムギの穂が黒くなってすっかりいがやってしもーた(昔々、麦穂が黒いカビのような物質に侵されて結実不能になっていた)。 |
いきのう・ |
直後、の意。 |
●くぅーたいきのーに寝ると牛になるんじゃ(食べた直後に寝ると牛になる)。 |
いしなご・ |
女児の遊びで、複数の石を地面にばらまき、その中の一つを投げ上げて、落ちてくる石をつかみ取る間に、同じ手で地面の石を出来るだけ多く拾って、順に拾い尽くす遊び。落ちてくる石をつかみ損ねると、拾った石は元に戻さなければいけない。 |
女児の遊びとは云え、結構面白いので男児も遊んでいた。 |
いじましい |
怖いわけでも無いのに、背筋がゾクッ、あるいは体がジーンとした時に発する言葉(1),(2)。適当な標準語は無い。 |
(1) 曇り硝子を爪で引っ掻く音を聞かされて。いじましい音をたてなー(背筋がゾクッとするような音をたてるな)。 |
いたば | いかにも関西弁のようだが、料理店の仕事場という意味では無く、一般家庭の台所という意味。板場にはカマドや水瓶が土間に置かれ、その一隅には食事などをするための板ばりの床を持つ空間があった。土間のカマドの消滅とともに本来の意味での「いたば」は無くなった。その後、台所の事を「しょたいば」と言うようになる。東国方言では「勝手」と言ったりする。 |
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●傷が痛むのでは無く「新鮮な食物が古くなる・腐る」事を言う。 |
梅雨時ゃ食い物がいたみやすい(腐りやすい)。 |
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いちにちはだめ |
一日おきに。当然ながら「ふつかはだめ」は二日おき、「みっかはだめ」は三日おき、という意味。「はだめ」の最初の「は」にアクセントを置く。 |
薬の服用は一日はだめ。 |
いっこも |
「少しも〜で無い」という文脈で使う。 |
いっこもこうぇーねえ(少しも怖く無い)。 |
いつもこつも |
いつでも、毎回。 |
いつもこつも、お達者なことで(いつもお元気ですなぁ)。 |
いっちゃん |
最初、一番。 |
わしがいっちゃんや(私が一番だ)。 |
いなげ |
変・異の意。 |
よーさり墓のそばーとおりょったらーいなげなめにおうてな(夜、墓の側を通っていたら異様な事態に遭遇してね)。 |
いぬ・ |
帰る、の意 。古語 |
いんだ(帰った) 。いねー(帰れ)。いぬるまで待ってーて(帰るまで待っておいて)。 |
●(1) 体の一部が腫れる。例えば傷が化膿して腫れる【必ずしも化膿していなくてもいい】。 アクセントは「ば」にある。標準語のアクセントは「る」になる。 ●(2) 単に「りきむ」事。例えば便秘のためトイレで。 *「りきむ」の意味の場合は「へばる」ともいう。 備前の東方面では(1), (2)の意味で「きんばる」と言う。 備中の北部では(1)の意味で「ほぉちゃくする」と言った(*4)。 |
●(1) でものがいばって困っとんじゃ(おできが化膿して痛くて困っています)。 |
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いまごろ |
最近。アクセントは「いま」。アクセントを「ごろ」にすると標準語になる。 |
いまごろこゑ事件がおゐ(最近怖い事件が多い)。 |
いやし・ |
(1)食いしん坊。名詞。 |
(1)めしの支度ができてねーのに、いやしじゃのー、よだればーうだりょーる(食事の支度が出来ていないのに、涎ばかり流して食いしん坊だなぁ)。 |
いよいよ |
まったく。 |
いよいよ銭にならん(さっぱり儲けにならない)。 |
いら |
(1) 古語で棘(トゲ)の事。もっぱら刺す主体が正体不明の場合に使う。だからその主体は小さな虫だったりする場合が多く、海などでは毒クラゲなどでも使う。 |
ぼにゅー過ぎて海ぃへーっとりゃーいらがでるんぞな(お盆過ぎに海で泳ぐと毒クラゲに刺されるぞ)。 |
いらさんきち |
刺されると痛い毒毛虫の意。詳しくいうと、毒針を持つ毛虫。 |
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いらまかす |
●冷やかす・からかう、の意。 |
「えどーかす」はちょっとしゃれた大人の言葉で「いらまかす」は子供を中心に広く使用された。 |
いる |
(1) 果実の実がよく熟し実がしっかりつまっている事。アクセントは「る」。 |
●すいかのみがよーいっとるようなけーちぎっとくわ(スイカの実がしっかりつまっているようだからもぎ取っておきます)。 |
いろう |
●「いらう」が訛ったもの。 |
*「さわる」を参照。 |
いろはにコンペイトウ |
と云うのでしたか。一種のわらべ歌だとは思っていましたけれど。 |
三角四角、 |
いんけつ |
「べっとこ」・「びりけつ」と同じ意味で使われた。最下位の事。 |
「タコ」や「ゲス」と同じような使い方。「最低だな」という意味で「いんけつやなー」と言う。 |
いんべやき |
漢字で書くと忌部焼、ではなくて伊部焼になる。 |
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うがす |
剥ぐ、の意。 |
テープぅうがすんを忘れてしもーた(テープを剥がすのを忘れてしまった)。 |
うげる |
剥げる、の意(もげる、を参照)。 |
壁紙うげとるぞな(剥げているよ) 。指でへずるばーするからじゃ(指でけずるばかりするからだ)。 |
うずないー |
窮屈だという違和感・体にピッタリと合わない違和感。手足や頭などが靴や手袋や帽子のために窮屈だと感じた場合や、服が小さくて気持ち悪く感じた時などに使う言葉。備中から備後の中国山地で使われる。恐らく標準語には意味の似た言葉は無いだろう。 |
【小さな服を着て】こりゃーうずないー(こりゃー窮屈だ)。 |
●単に「液体が垂れる」の意。 |
●よだれがうだりょーるが(【お前】よだれが垂れているよ【どうにかしろよ】)。 |
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うだれ |
●庇 --- 軒につける『ひさし』の事。 |
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うち |
(1) 大抵は自分の家・時として他人の家。 |
(1) うちーけーやー(わが家に来てよ)。 |
うったて | 書道の用語で、例えば漢字の一を書く時の最初の点。 | 今だに使われているようで、、、 |
うまえる |
差し水をする、の意。 |
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うみる |
蒸し上がる、の意。 |
●めしぃうみたんじゃねーか(ご飯が炊き上がったのでは)? |
うむす・ |
蒸す、の意。 |
●飯ごうでめしぃうむすにゃーこつがあるんぞな(飯ごうでご飯を炊くにはコツがあるのよ)。 |
うめーげに |
上手に。 |
例文は「あやくる」を参照の事。 |
「埋める」のでは無くて「水を入れて湯の温度を下げる・差し水をする」事。 |
昔は五右衛門風呂が普通だったので、湯を熱くして適温になるまで水を入れて温度を下げた |
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うるめる |
「うめる(差し水をする)」と同じ。 |
いやいや、土にうめるんじゃのーて、うるめるんじゃ(いえいえ、土に埋めるのでは無くて、差し水をするんです)。 |
うんのびる |
●「気絶する」・時として「気絶のフリをする」の意。 |
きゃーるがとびっぃーてきたんでうんのびてしもーたぞな(蛙が飛びついてきたので【飛びつかれた女性が】気絶した)。 |
うんま |
ご飯、の意。 |
うんま、うんま(ご飯だよ)。 |
えー |
良い。 |
えー湯じゃ(いい湯だな)。 |
えーげに |
うまく、好きなように、いずれの意味でも使う。 |
えーげにせられー(うまくやりなさい・好きなようにしなさい)。 |
えーこ | 合い、の意。 アクセントは「えー」にある。発音は「ゑこ」になる。 「えーこ」の「え」は「や」と「え」の中間音なので、どちらとも取れる音になる。 「やーこ」「ええ」「あい」とも。 |
たたきえーこ(叩き合い)。 なぐりえーこ(殴り合い)。 いーえーこ(口争い)。 |
えーこしー | ややこしい、の意。 アクセントは「えーこし」にある。「えーこーしー」とも言った。 関西の子には「ブリッ子しているずるい子」のような意味に受け取られたので、自然と使わなくなった。同じ意味で「やえぐるしい」という言葉も聞いたが、これは播州方面の言葉らしい。 |
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えーま |
あいま(合間)。 |
えーまぐい(間食をする事) |
ーえ |
文章の最後につけて勧誘を表す。 |
きょうはのもーえ(今日は飲みましょう)。 |
えしき |
本来は「会式」なのでしょうが、備前で「えしき」といえば、西大寺観音院の裸祭り後に二週間行われる後祭りの事。 |
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えぞる |
すでに書かれている文字や図形を辿るという意味の「なぞる」と同じ。単なる訛りなのか方言なのか、今一つ不明。 |
【写経は】えぞってかきょーっても、なかなかうもーかけん(文字をなぞって書いても、なかなか上手に書けない)。 |
えっと |
たくさん、の意。 |
こずかいえっともろーたか(おこずかいを沢山もらったか)? |
えっとこ |
母親が子供に対して使う言葉。幼児語。腰をかける、の意。 |
歩くのが唯一の移動手段だった時代、「えっとこしょーえ(一休みしようか)。」はほっとする言葉でした。 |
えっぷ |
げっぷ。幼児語。 |
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えっぽど |
よほど、の意。単なる訛りだろう。 |
えっぽどどしゃーげたんじゃろ(よほどひどくぶつかったんだだろう)。 |
えどーかす |
●冷やかす・からかう、の意。 |
「いらまかす」を参照。 |
えぼ |
●(1) 餌 |
(1) 鳥にえぼをやってー(鶏に餌を上げてちょうだい)。 |
えらい |
(1) 偉い。全国共通。 |
(2) 今日はえれーおとなしぃのー(今日はたいそう静かにしているなぁ)。 |
えらっそー |
「自慢ぶる・高慢な態度」の事。 |
えらっそーしょーると人に嫌われるよ(傲慢な態度は他人に嫌われますよ)。 |
えんだ・えんや |
「えんがわ」の事。 |
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えんたつ |
煙突。 |
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おいぐ |
泳ぐ。これを「おゐぐ」と発音する。 |
おいぎーいきょーてんか(水泳に行ってるのですか)? |
おーきに・おおきに |
ありがとう。 |
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おいでんせぇ・おいでんさい |
いらっしゃい。 |
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おうどう・ |
●横着な。面倒くさがって、いいかげんな事をして危ない目をみる。 |
●おーどーな事をするけーけっぱんずくんじゃ(【例えば:面倒くさがって、近道をしようとしたりする】からつまずくんだ)。 |
おーこ・おおこ・おうこ |
天秤棒の意。 |
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おーげん・おおげん |
おおぐち・口だけは達者の意。 |
●おーげんをたれる(大口をたたく ・大言壮語する)。 |
おえ |
座敷 。 |
おえへあがってー(座敷に上がって下さい) |
おえん |
アクセントは不定。真ん中の「え」にアクセントがかかりがち。 |
(1) 変えんとおえん(変えないといけない)。 |
おかやまべん(岡山弁) |
岡山駅で売り子が売っていた駅弁の事。 |
岡山弁はきしゃのーておえん(岡山のうんこは汚くて駄目だ -- 岡山の方言は汚くて駄目だ -- どちらの意味にも受け取れる)。」 |
おけんたい |
発音は通常「おけんてー」。 |
【おとうやの席で】XXちゃんは、おけんてー様じゃなー(【お頭屋の集まりで】XXちゃんは、堂々としているなー)。男の子に対する褒め言葉で、この場合は母親が側にいない事を指している。 |
おこし |
(1) 腰巻き |
腰巻は古くは「いもじ」とも。 |
おこよ |
小便 |
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おごり |
ふるえ・全身性の痙攣。
多分「おこり」から変化してきた言葉だろう。 |
熱をでぇーておごりがつぃーて困った(発熱してふるえが出て困った)。 |
おごる |
「ごそ」になる事。 |
夏になりゃー庭の木がおごってくる(木の葉が繁ってくる)。 |
おしきり |
(1) 飼葉切り、の事。 |
【農業】 |
おしげらに |
惜しげも無く、の正反対の意味。 |
そねーに、おしげらに物をやるんなら、やめぇ(そんなに人に物を与えるのが勿体ないのなら、止めてしまえ)。 |
おしこみ |
押し入れ。 |
おしこみにてんまるをとらげてーてぇ(押し入れに鞠をしまっておいて下さい)。 |
おせ |
おとな 。 |
●おせらぁ・・・おせの複数形。 |
おせらかす・ |
おどかす、の意。恐喝したりを意味する、おどす、とはまったく違う。怪談を語って「おせらかす」と云う使い方が典型的。多分「おそらかす」が訛ったもの。 |
一人で夜道をいなにゃーおえんのに、おせらかすばーして(一人で夜道を帰らないといけないのに、おどかすばかりして)。 |
おせーかす |
古い言い方だが、一応記しておく。「教える」の意。 |
おせーかしてつけぇ(【勉強を】教えて下さい)。 |
おだおだ |
水中に溶けきれない物質が漂っている物、の意。 |
【珈琲に粉クリームを入れて】おだおだがのーなるまでかきまぜてーよ(水中の粉が無くなるまでかき混ぜて下さい)。 |
おつ |
みそ汁 ・吸い物・汁物一般 |
さー、おつぅいただこぅ(さて、みそ汁をいただきましょう)。 |
おっちん |
●座る。 |
●そこにおっちんしんせぇ(そこに座りなさい)。 ●(飼い犬に)ちん!(おすわり!) |
おとこ |
床の間の事。 |
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おどし |
農家で「おどし(名詞)」といえば「かかし」の事でした。 |
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おとでぇ・おとでー・おとどい |
兄弟の意。 |
備前北部から備中南部、備後南部にかけての言い方かと。 |
おとと・とと |
幼児言葉で「魚」の意。 |
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おどりこ |
大泉門 |
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おやじ・おとやん |
方言とは思えないのですが、一応。 |
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おとんぼ |
末っ子 |
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おなご |
単に女性の意。 |
人間では無く動物の雄雌を言う場合には、おんた(雄)/めんた(雌)。 |
おーばん |
広い場所、の意で「おーばんを取る」という使い方をした。 |
(子供の遊び場で男子が遊び場を広く取って女子の遊び場が狭い場合に)「あんたらーおーばん取り過ぎじゃわ。もちーとうちらにゆずりーや。」 |
おーばんし・ |
模造紙のこと。 |
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おめこ |
女性器の意。 |
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おめく |
わめく・大声を出す、の意。 |
おめーてもかわんもんはかわん(わめいても買ってやらん)。 |
おめる |
恥ずかしい・恥ずかしがる、の意。 |
おめるわー(はずかしいわ)。 |
●叫ぶ、泣く、わめく。 |
おらびまくっとるがー。 |
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おり |
おりあい、の省略形。人と人との仲。 |
よっぽど、おりが悪かったんじゃろ(仲が悪かったんだろう)。 |
おろ |
(1) 「まばら」という意味。 |
●髪がおろーなったなー(意味は各自考えて下さい)。 |
おん? |
(1) 「えっ?」と物事を聞き返す言葉。 |
「ほん」を参照の事。 |
おんどれー・おどれー |
●こんちくしょう、の意。 |
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おんびん |
●臆病・弱虫、の意。 |
おんびんくそー(弱虫) |
かーやんご |
カヤ(萱)の事で、イネ科の植物全般を指す。 |
【植物】 |
がいだ・ガイダ |
美作(作州/津山)の方言でカメムシの事。 |
昆虫 |
かえこと |
方言と云うまでも無く、以下のような訛りの三段活用で出来た言葉かと。 |
この柿のたねょーむすびとけーことしてつけー(この柿の種とにぎりめしを交換して下さい)。 |
かがむ |
牢屋へ入る。 |
悪さぁしょーりゃーかがまにゃーおえんよーになるねぇー(悪い事をし ていると牢屋へ入ないといけなくなるんだから)。 |
がきのくび |
八月十六日の事。 |
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かく |
(1) 二人以上で「担ぐ・持つ」事。 |
●「かく」の名詞形「かき」を使った言葉「駕籠かき」。 |
かげる |
(1) 欠ける、の意。 アクセントは「る」にある。 |
●かげが出来てしもーた・かげてしもーた(一部が欠けてしまった)。 |
かごむ |
かがむ・しゃがむ、の意。 |
たうえゃーかごんでばーじゃけーえれーわ(田植えはしゃがんでばかりだから疲れるわい)。 |
かざ | 匂い、の意。 アクセントは「ざ」にある。 |
|
かざむ | 匂いを嗅ぐ、の意。 アクセントは「ざむ」にある。 「かざをかむ(匂いをかぐ)」の省略形かと。「かむ」を参照の事。 |
瓜をかざんでみりゃー、うれたんがわかる(瓜の匂いを嗅いでみれば、熟れているかどうかが判る)。 |
火事 |
火事になる事を |
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かじこまる |
かじかむ、の意。 |
手がかじこまるのぅ(【寒くて】手がかじかむなぁ)。 |
かしわ |
鶏肉、の事。 |
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かしわのき |
柏餅を包む葉を持つ木。 |
「柏の木」の葉は手を拡げたようなギザギザがあって、樹高も高くなる木だとは最近になって知りました。 |
がしん |
飢餓・飢饉 |
関西弁の「がしんたれ(弱虫・腰抜け)」を初めて聞いた時には「喰い意地の張った奴」という意味だと思った。 |
かす |
●粕でも無く、貸すでもない。 |
洗濯物を水にかしてーて(洗濯物を水に浸けておいて)。 |
かぜ |
●さくらごち(サクラの花が咲く3-4月の東風) |
この項、その内容は誤ってると思うが(*1)を参考にしました。 |
かたえる |
腹がかたえる、と使う。便秘する事。 |
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かたくま |
肩車。 |
かたくまはきょうてーなー。 |
かたぐ |
●かつぐ、の意。 |
かますをかてーでくんせー(米袋を担いで下さい)。 |
かたげる |
●傾ける、の意。 |
ひょんなげな事ぉゆーたんでもねーのにくびゅーかたげるかのぅ(妙な事を言ったわけでも無いのに首をかしげるかなぁ)。 |
かたがる |
●肩の上に乗る、の意。 |
【子供に対して】まーたかたがりょーらぁ(また【甘えて】肩の上に乗ろうとするー) |
かたたがい ・ |
●方向違い、の意。 |
(1)「岡山駅へ行くにはこの方向でいいですか?」 |
かたひら |
●片一方、の意。 |
くつぅーかたひらぁどけぇやったけぇーのう(靴の片一方をどこに置いたかなぁ)? |
クマゼミの事。本来はミンミンゼミの事かもしれないが、ミンミンゼミはすばしこrく、聲はすれども姿は見えずで捕まえた記憶が無い。同じように羽が透明なクマゼミの事を意味するようになった可能性が高い。「ごろー」との名称は「かたびら」のメス。 |
【昆虫】 |
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かちくりあう・かちあう |
●「ごっつんこ」する、事。 |
●くるうばーしょーるけー、頭かちくりあうんじゃ(ふざけて暴れるから頭どうしがぶつかるんだ)。 |
かつえど・かつゑど |
●腹をひどく空かせた人(方言というよりも仏教用語だったかと)。 |
●かつえどみてーにくうの(餓鬼みたいに食べるなぁ) 。 |
かつえる |
●かつえる - 餓える・空腹だ。古語。 |
●かつえとるのー(ひどく空腹だったんだなー)。 |
●草木がひどく密生した様子。 |
●雨ばーふりゃ庭ぁがっそじゃ(雨ばかり降ると庭は雑草だらけ)。 |
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がったんびっこん |
物の左右がうまく合わない時の表現。 |
●からかみががったんびっこんじゃ(ふすまの左右がうまく合わない)。 |
学校用物品 |
(標準)---(ローカル) |
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農家の庭 。 |
うすーかしてぇ。かどにあらぁ。(臼を貸して。庭にあるよ。) |
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がな・ |
(1) 三人称で使った場合には相手に「なんとかしろ」、 |
(1) バスが来てしもーたがん(バスが来たよ --- 乗り遅れている人がいるのでなんとかならんか)。 |
かなぐる |
●かきむしる・ひっかく、の意 。 |
●かいーけぇ、かなぐりまくった(痒いので掻きまくった)。 |
かばち | 口答え、の意。 本来は広島の方言のようだが、かなり伝染力の強い言葉らしく、近年、瀬戸内海の港経由で、その勢力を拡大してきた。 播磨から備前南部(児島方言 *2)〜備中〜備後にかけて使われる。 昭和50年代に入り備前北部まで一部侵入したようだ。 |
*** |
がぶ |
●野葡萄 |
【植物】 |
かぶうち |
●同族、という意味。 |
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(1) 【犬や猫や蛇が】咬む・噛む。 |
●むかし、かぶる猫がおっての(昔、人を咬む猫がおってな)。 |
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かむ |
「鼻をクンクンさせる」、英語の"sniff"という意味。 |
かざをかんでもはらぁくちくなるまぁ(匂いを嗅いでも満腹する事はないでしょう)。 |
がめる |
(1)盗む。 |
(1) えーんか、ええもんもって(いいなぁ、いい物持っていて)。どっかでがめたんやろ(どこかで盗んだんだろ)? |
かめんたー・かめんた |
淡水魚の「たなご」の意。 |
【魚類】 |
倒す・ひっくり返す、と云う意味。 |
お茶ーまかすばーすなー(お茶をこぼすばかりするな)。 |
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かやぶく |
傾く、の意。 |
●柱の土台が崩れて屋根がかやぶぃーとる(屋根が傾いている)。 |
かやぶける |
傾ける、の意。 |
●水のへーったバケツをかやぶきょーると水がまけるよ(水の入ったバケツを傾けると水がこぼれるよ)。 |
かやる |
倒れる・ひっくり返る、の意。 |
●ちばけてかやるばーしょると頭ぶつけるんじゃ(ふざけて転んでばかりいると頭を【床などに】ぶつけるんだから)。 |
から |
も、の意。アクセントは「か」 |
●この背広、えーやろー、十万円からしたんやでー(十万円もしたんだぞ)。 |
から |
体格。 |
●からがおおけーからのぅ(体格が大きい --- 偉丈夫だからなぁ)。 |
からかす |
植物などを「枯らす」という意。 |
●花ーからかしてしもーて(花を枯らしてしまって)。 |
かわなり |
漢字で書くと「皮なり」で「皮と一緒に・皮ごと」の意。はっきりとしたアクセントは無い。 |
柿はかわなり食べらりょーが(柿は皮ごと食べられるのでないかい)。うんにゃ、近頃ぁ農薬が危のぅてかわなりぁおえん。 |
蝉の一種。確かアブラゼミの事。アクセントは語頭の「が」にある。 |
【昆虫】 |
|
かんかん |
よく冷えたという意味。 |
このバクダンキャンディーはかんかんに冷えとるけー気ーつけて食ってのー。 |
かんじょうより |
「【七夕の短冊を結ぶ】こより」の事。はっきりとしたアクセントは無い。 |
昭和40年以後はあまり聞かなくなり、個人的にも「こより」しか使わなくなった。 |
●カニの事。アクセントは語頭の「が」にある。 |
がんつばーつかめーて、あそぶばーすな(蟹ばかり捕まえて遊ぶな)。 |
|
がんどう |
●生木を切るノコギリ。アクセントは語頭の「が」 |
山での作業には必要だったけれど、チェーンソーが普及しましたから。 |
ぎーぎー |
カミキリムシ、の事。 |
【昆虫】 |
きこなう |
●聞き耳をたてる。じっと聞く。 |
●きこねぇーてもおえるもんか(聞き耳をたてても無駄だよ)。 |
ぎすい |
●きつい、強い、の意。 |
●あんたぁ、ぎしー事を言うのぉ(あなたは厳しい事を言いますね)。 |
ぎせ |
●山裾や畑の端(その土地本来の意味を成さない場所)を示す言葉。草刈りをしたり、肥料をやったりといった手入れをする場所では無い。 |
ぎせにゃ、肥料なぞ、いっこも撒くこたぁねぇ(たんぼの端には肥料なんか少しも撒く必要は無い)。 |
きちきちばった・ キチキチバッタ |
ショウリョウバッタの事。 キチキチと啼くのはオスなのだそう。 |
【昆虫】 |
きつねばな | 彼岸花 | 毒花なので決して食べてはいけないと云われていた。【植物】 |
きっぽ |
(1)「きっぽになる」と云う風に使う。 |
(I) なごー歩いたんで、足がきっぽになってしもーた(長く歩いたので足が硬直したよ)。 |
きびし |
踵(かかと)のこと。 |
きびしがしびれて足がもとおらんがぁ(足の裏がしびれて足がうまく動かないよ)。一般的な「踵(きびす)」から訛ったものか |
きみず |
酸っぱいゲップ、あるいは胃液。 |
腹がにがりょーるときにきみずがあがらんかのぅ(腹が痛い時に酸っぱいゲップ が出ないかな)? |
きやきや |
チクチクする痛み。 |
●頭がきやきやする(頭がチクチク痛む)。 |
きゃーくそ |
「きゃーくそが悪い」と使って、「胸くそが悪い・ムカつく」という意味になる。腹をたてている表現ではあるが、時として気持ちの悪い物を見て吐気を催した時にも使う。 |
|
ぎょうぎ | 体罰に近いしつけをする事。 かなり古い言い方で備前では「やいとーすえる」という言い方の方が一般的。 |
てんごーばーしょうりゃーぎょうぎゅするねぇー(いたずらばかりしていると尻たたきするぞ) |
ぎょうさん・ |
普通「ぎょーさん」と前の方にアクセントを置いて間を伸ばす。「たくさん・多く」の意。 |
雨がぎょーさん降っておおみずになったぞな(大雨が降って洪水になった)。 |
ぎょうせん |
水飴。 |
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きょうてえ |
怖い、恐ろしい、の意 。 |
●ぼっけーきょうてかった(大変に怖かった) 。 |
ぎり・ |
頭の旋毛。 |
ひょんなげなとけーぎりがあるのー(妙な場所に旋毛があるなぁ)。 |
きんうり |
まくわうり。 |
【農業】 |
きんかいも |
じゃがいも。 |
【農業】 |
きんかぼーず |
国旗掲揚の際に旗先に付ける金の丸い玉。 |
標準語ではどう言うのだろう? |
きんきん |
非常に膨らんだ状態、例えば便秘などでお腹が膨れている状態。 |
(1) 便秘で腹がきんきんじゃぁ。 (2) 風船がきんきんで今にも割れそうじゃぁ。 |
きんばる |
「いばる」と同じ意味。 |
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くい |
次のような慣用句として使われた。 |
くいがたつ(【足でクギを踏んで】踏み抜きをする)。 |
ぐい |
トゲを持つ植物のトゲ。 |
きれーなバラにゃーぐいがあるけーきーつけんせー(奇麗なバラには棘があるから気をつけなさい)。 |
ぐいび |
赤くて丸長い実のなるグミ、の事。 |
【植物】 |
くぎる・ |
それぞれ「焦げる・焦がす」の意。 |
魚を焼くのに、こねんくがすやつがおるか(魚を焼くにしても、こんなに焦がしてはいけない)。 |
くじ | 「くじをくる」あるいは「くじを言う」と云い「だだをこねる」「文句を云う」の意。 備中の北部で使われる事は確認。備前では聞いた覚えが無い。 備前で「いじを言う」とは、子供がだだをこねる、という意味になる。 |
|
ぐしい・ |
(1) ゆるい。帯などが緩い場合に。 |
●縄、ぐすくしといて(縄の【結び】を緩くしておいて)。 |
ぐす |
竜のひげ。 |
【植物】 |
くすべる |
煙を出す事に意味があった時代の言葉。「煙をたてる」事。 |
例えば、狼煙を上げる時には使っただろうし、煙を使って蚊を追い払う時にも使った。 |
くそがえる |
土蛙 |
【動物】 |
くちなわ |
蛇、の意 。 |
くちなわは、きょうてぇなー(蛇は怖いな) |
くちへんじ |
「口返事」と書くのかな 。 |
【備前】くちへんじばーでちーともものをきいとらん(適当な返事ばかりで少しも人の言う事を聞いていない)。 【備中】えーとしゅーしてくちへんじばー(いい齢なのに「くちごたえ」ばかり)する。 |
くちる |
(1) 「朽ちる」のでは無く、青痣が出来る事。 |
(1) ほーだまがくちとるのぉー (ほっぺたに青アザが出来てるなぁ)。よーさりけっぱんずいてなぁ(夜中につまずいてなぁ)。 |
●くつわす・ |
「くすぐる・くすぐる・くすぐったい 」の意。 |
くつわすばーすな(くすぐるばかりするな)。 |
くど | カマドの焚き口。 ●カマド神の事を、一般的には「おくど様」というが、岡山では「おどくうさま(オドクウ様)」の方が有名。 ●雨が降らないと、山の上で火を焚いて、雨乞いをしたというが、これを「おどくーさい(オドクウサイ)」と言ったそうな。 ●日蓮宗の家では「オフゲン様」を台所に祭るようだ。 |
くどの中へ薪ぅくべてぇ(カマドの中へ薪を入れて)。 |
くらりかやる | 【のけぞって】後ろ向きに倒れる事。 ●必ずしも驚く必要は無いのだが、驚いて尻餅をついた場合によく使われた表現なので。「くらり」は「ひっくり」で、「かやる」は「倒れる」という意味。 「けっぱんずく」が前のめりに倒れそうになるのに対して「くらりかやる」は【のけぞって】後ろ向きに倒れそうになる事。 備前南部の下津井では「さでくりかえる」と言うらしい。 ●アクセントは「くらり」の中でも特に「ら」にある。 |
(1) 上ばー見て歩きょーたらくらりかやるでー(上ばかり見て歩いていたら後ろ向きにひっくり返るぞ)。 (2) いっ、今、そこで、ノッペラボーにおーてくらりかやってしもーたんじゃ。【ノッペラボーに出くわして尻餅をついてしまった。】 |
ぐり | 皮下にできる「しこり」の意。 ●触って判る物なのでリンパ節やら腫瘍やら。 ●アクセントは「ぐ」にある。 |
ぐりができてしもーた(しこりができてしまった)。 |
ぐりいし | 手拳大以下の大きさの石。 ●石垣に使う大石の下に轢いて大石の位置を整えるために使われるような石。 ●時として省略して「ぐり」とも云った。 ●アクセントは「ぐり」にある。 |
そねーなおーいしはぐりじゃーねぇ(そんな大石はぐり石では無い)。 |
くる | 体の中から思わず外に出て「くる」の「くる」。 左記の二つの場合しか使わないと思われる。 アクセントは「く」にある。 |
●へをくるばーせんで(屁をひらないよーに)。 ●よだれをくりょーるが(涎を流しているよ)。 【「屁」の場合は人称に関わらず使うが、「涎」の場合は主に三人称だけで使う。一人称と二人称は「うだる」という動詞を使う。】 |
くるう |
ふざける・じゃれる事。 |
●犬がくるーとるぞな(犬が【例えば鞠などと】じゃれているよ)。 |
げー |
げーがでる、と使う。嘔吐するの意。 |
|
げいさりませー |
おじゃまします、という挨拶。 |
|
けー・けぇ |
(1) 理由・原因を説明する接続詞。「〜ので、だから」の意。 (2) ある種の接続詞や代名詞の中の「これ」の意。「けーから」--->「これから」、「けーで」--->「これで」、「けーでも」--->「これでも」等など |
(1) いんでくるけーまちょーって(戻ってくるから待っていて)。 (2) けーでおしめーじゃ(これで終わりだ)。 |
げた |
シタビラメの事。 |
【魚類】 |
げっちょ |
「タイム」の事。「たんま」とも言った。ソフトボール中に「タイム」とは云わず「げっちょ」と言って試合を中断した。 |
|
けっぱんずく(けっぱんづく) |
けつまずく、の意 。「つまづく」では無くて「つまずく」なので、「けっぱんずく」と書くのが正しいのだろう。 |
もっとでけっぱんずきょーった(もう少しでつまずくところだった) |
けなりー ・ |
羨ましい。 |
あそこのうちぁぼっこー分限者じゃけぇけなりーわ(あそこの家はすごい金持ちだから羨ましい)。 |
げん |
縁起。 |
げんが悪い(縁起が悪い)。 |
けんびき |
肩甲骨よりおよそ内側3cm -- 8cm の範囲で、肩甲骨とほぼ同様の上下幅を持った場所。 |
けんびきが凝った(けんびきの場所が凝った)。 |
ごーがわく |
腹が立つ、の意。 |
|
こーこ・ |
大根の漬け物の事。白菜など大根以外の漬け物は「こうこ」とは呼ばず、単に漬け物と言った。 丁寧に「おこうこ」とも云う。 |
こーこ、ちょうでぇ(沢庵を下さい)。 |
ごーら・ごうら |
石の事。おもに石といっても川にある石。また渓流の石。時には畑にある小石の事。 |
畑のごーらをひらわにゃーおえん(畑の小石を取り除かないといけない)。 |
こう |
●買うの意。 |
(1) 鍬をかってきたよ。へじゃけど、どーせこうてこにゃ(鍬を借りてきたよ。でもどうせ買わなくちゃ)。 |
こうじく | 頑固な、の意。 同じ意味なら、備前では「へんこつ」の方が一般的かもしれない。アクセントは「こう」にある。 |
こうじくな奴(頑固な奴) |
こうしゃく |
●こうしゃくしぃ(講釈をする人)」という使い方をする。 |
●えーつぁこうしゃくしぃじゃけーのぅ(あいつは口が達者だからなぁ)。 |
こぐ |
何かを削り取る事。自動詞形は「こげる」。 |
(1) あしたりゃー稲をこぐねぇー(明日は脱穀しよう)。 |
こげ |
「こげる」という動詞の名詞形。 |
こげが出来る、という風に使う。 |
●欠ける、の意。「こぐ」の自動詞形。 |
あっ、歯がこげちゃった(歯が欠けた)。 |
|
こごむ |
(1) 沈殿する、の意。 |
(1) おりがこごむまでまたにゃーおえん(水中を漂う沈殿物が底に落ちるまで待たないといけません)。 |
こさげる |
削り取る、の意。 |
●おこげは釜からこさげ取らんと(「おこげ」は釜から削り取らないと)。 |
こざらかす | 子供をあやす。なだめる。備前方言(*1)。 | |
こすい・ |
ケチ、の意 |
ぼっけーこしーなー(ひどいケチンボだな) |
こずく |
咳をする意。 |
(1)こずくばーしょーりゃー、止まる咳も止まるまーぜー(咳ばかりしていると止まる咳も止まらないだろう)。 |
こぜる |
「こじる」の訛りだろう。 |
無理にこぜりょーるとめげてしまうねぇ(無理にひねって押し広げようとしていると壊れてしまうでしょう)。 |
ごそ・ |
「がっそ」と同じ意味・用法。人が踏み込めない程に草木が繁った様。 |
例文は「がっそ」を参照の事。 |
こそばす・ |
●こそわす・こそわかす・こそわいー |
|
ごた・ |
無理・無茶、の意。「わや」とも云う。 |
●ごたーゆーな(無理を言うな)。 |
ごちー ・ |
「ごつい」が訛ったもの。「大きな」と云う意味で使用される事が多い。 |
ごちーあかちんぢゃ(大きなカサゴだ)。ごっちー(大きいなぁ)。 |
ごっつぉう |
ごちそう。発音が難しいので。 |
ごっつぉうさま(こちそうさま)。 |
ごっとん |
泥棒の事。 |
「取る」がゲットで「取った」はゴット、「取ってしもうた」はゴットンなんよ、と英語の教師がゆよーりました。 |
こっぱん |
蕁麻疹の際に出来る白い大きめの丘疹を指す。 |
例としては、飲酒後に出てくる蕁麻疹。 |
ごてる |
●不平不満を言う事では無い。 |
ごてっしもーた(面倒な事になった)。 |
こねーだ |
方言と云うまでもなく、「この間」が訛ったもの。日常会話では頻用される。 |
|
こびんちょー |
小さな、という意味。 |
この魚はこびんちょーじゃけーにがしたろー(この魚は小さいから逃がしてやろう)。 |
こま・ころ |
おもちゃの車の車輪。自転車の補助輪もこの類。 |
おもちゃの車のころが取れてしもーた。 |
こまい |
小さい、という意味。「こんまい」とも言う。 |
こまい犬じゃ(小さな犬だ)。 |
こまめ |
小さめ、という意味。 |
漬け物は、もちーとこまめに切らんと、食いにくかろう(漬け物はもう少し小さめに切らないと食べにくいだろう)。 |
こまめる |
小さめにする、という意味。 |
|
ごめんせえ・ |
ごめんください。 |
備前南部(玉野方面)では「げいさりませー」と言ったよう(*2)。 |
こらえる |
許す。 |
これーちゃらー(許してやるよ)。 |
ごろごろ |
「かみなり」の意。 |
|
ころくに |
「ろくに、ろくすっぽ」の意。 |
●ころくに仕事もできゃーへんのに(まともに仕事もできないのに)。 |
ごろた |
丸太の事でもいいのだが、もっと何にでも使う。両手で抱えるか、それ以上の大きさの物体。大きな木切れとか、ドラム缶、粗大ごみ。 |
このごろたをどねんかせー(この塊をなんとかしなさい)。 |
こうぇえ・ |
●水分が抜けて固くなった状態。 |
めしィこうぇえが。(ご飯が固めだよ) |
ごんぎょー(ごんぎょう) |
れんげ、正確には「れんげそう」の意。 |
【植物】 |
津山(美作地方)の方言でカッパの意。 |
一般的に妖怪を表現する言葉には「がんご、ごん、がご」等、中四国地方だけでも各種の言い方がある。 |
|
こんこん |
狐・きつね・キツネ。幼児語。 |
「こんこんずし」とは「きつねずし」のこと。 |
ごんた | わんぱく、の意。 備前でも東の方言。 |
「ごんたくれ」とも。 |
ざい | 在所の「在」。東備ではあまり聞かない。 南備の下津井辺りでよく耳にする。 |
ほぼ次のような文脈で使われる。 あんたぁどこのざいでー(どちらの出身ですか)? じげのもんじゃーあるめー(地元の人間ではないでしょう)。 |
さいばる | でしゃばる・口をさしはさむ。 備前でも少し東の地域が本場の言葉。アクセントは「ば」。 |
おめーはさいばらんでもえーの(お前は、口をさしはさまなくていいの)。 |
さかい | (1) 急な・急峻な、の意。 馬の鞍のような地形では尾根筋に対して直角の方向に道がある場合、その道が鞍の底部の峠を越える場所を「たわ」と呼ぶ。この坂道で勾配が急で険しい場合などに「さかい」と云う。アクセントは「か」にある。アクセントを「い」に置くと「境」の意味になる。 東の備中方面、あるいは南の四国方面では同じ意味で「きぶい」と言うらしい。 反対語は「なるい」 (2) 厳しい、猛々しい、の意。 |
(1) この道ゃーさかいけー周りの山がひくぅーみえるんじゃ(この道は急峻だから周囲の山が低く見えるのだ)。 (2) あんたーさけー事を言うのー(あなたは厳しい事を言いますね)。 |
さかしな・ さかへこ・ さかとんぼ・ さかてんぼ |
●あべこべ・逆・さかさま、の状態。 アクセントはいずれも、最初の「さ」にある。 個人的には「さかへこ」よりも古くから「さかしな」を使っていた。 或る時から急に「さかへこ」が流行り出した。 この「へこ」は物類称呼によれば西国言葉で「ふんどし」の意。 だから意味は「さかさふんどし」になる。 そういえば「さかふん」とも云っていた。 「さかさふんどし」--->「さかふん」--->「さかへこ」--->「へこさか」--->「へこ」 「さかとんぼ」は大人が子供に対して使う言葉で、上下が逆の状態だけを示す言葉。 |
●シャツの前後をさかしなに着とるがな。 ●服の表裏がさかへこじゃ。 ●溝にはまってさかとんぼになっとった(【普通、主語は子供】溝にはまり込んで頭と足が逆さまになっていた)。 |
さくい・さくゐ |
●(1) 中身がスカスカだ、の意。 |
●このスイカーさくぅいーのぅ(スイカがたなおちしているよ)。 |
さげる |
●下痢をする事。 |
はらーひぇーとるとはらさげょーするねぇ(お腹を冷やしていると下痢するよ)。 |
ざざ |
●水が激しくしたたる様を表す接頭語。 |
ざざもれ(ひどい水漏れ -- 例えばタルからの水漏れ)。 |
ささらほさら |
●(1) めちゃくちゃ。 |
(1) 筆の先がささらほさらじゃ(筆の先が【つぶれて】めちゃくちゃ)。 |
さし/しな |
●〜途中、の意味。 |
●しさし(やりかけ)の仕事があるけーいぬわ(やりかけの仕事があるから帰るよ)。 |
さし |
物差し、の意。 |
|
さでくりかえす |
タンスの中のような具体的な物でも、混み入った事情でもいいが、めっぽうほじくり返す事。 |
そねーにこめー事を、さでくりかえさんでもえーが(そんなに些細な事をほじくり返さなくてもいいでしょうに)。 |
さな |
(1) 五右衛門風呂の底板の事。アクセントは「な」にある。 (2) 地名では、低湿地を意味したようだ。出典は忘れた。真田十勇士で有名な「さなだ」は、湿田という普通名詞地名なのかも。 |
風呂上がる時、さなぁ上げて、だびすぅ抜いてーて(風呂上がりに、風呂の底板は、上げて、風呂の水を落としておいてください)。 |
さばる |
(1)(ドアの取手などに)つかまる 。抱きつく。 |
(1) そけーさばりちぃーとけー(そこにつかまっておけ)。 |
さら |
●(1)「新しい」 という意味。 |
●(1)さらの服(下ろしたての服)。 |
さらえる |
(1) 食事を残らず食べてしまう。 |
|
さるこ |
子供用の袖無し綿入れ上着。 |
子供用の丸袖の綿入れ上着は「はんちゃ」。 |
さわり |
たたり。 |
そねーな事をしょーりゃーさわりがあるんじゃけー(そんな事をしていると祟りがあるんだから)。 |
さわる |
祟る。 |
そねーな事をしょーりゃーさわられるんじゃけー(そんな事をしていると祟られるんだから)。 |
さんきち |
5-6月頃、木の葉を食い荒らし、 触ると皮膚炎を起こす毒毛虫。 |
「さんきち」さんに刺されたか(毛虫に刺されたか)? |
さんにょう |
計算、考慮。 |
そりゃーさんにょうにいれとかんと(それは考慮していないと)。 |
しきーつく・ |
くっついて離れない、の意。 |
服にガムがしきーつぃーてとれりゃーせん(服にガムがくっついてとれない)。 |
じげのもの・ |
これは方言ではないでしょうが、使い方が違うような気がするので。 |
例文は「ざい」の項を参照の事。 |
しで |
接続詞、〜になってくると、の意。 |
としをとりしで、はがおろーなる(齢をとってくると歯がまばらになる)。 |
じぶ |
篩(ふるい)の事。 |
【農業】 |
しむ |
「しみる」が訛ったもの。 |
●傷にしむがー(傷が痛いな)。 |
しもぶくれ |
しもやけ、の意。 |
指がかいーのぁしもぶくれのせいじゃ(指がかゆいのはしもやけのせいだ) |
しもや |
便所。 |
|
じゃ |
だ。(古語) |
そうじゃ(そうだ) |
しゃーけど |
だけど、の意。 |
しゃーけど、そねーなことがあろーか(だけど、そんな事があるだろうか)。 |
しゃしゃらまご |
玄孫。 |
|
しゃーせんご・ |
いたどり。 |
【植物】 |
しゃりき |
荷車・大八車。 |
しゃーりきひーてゴミひろい(荷車を引いてゴミ拾い)。 |
しゅう |
衆の「しゅう」。 |
例文は「よぼう」の項を参照の事。 |
しゅむ |
【味がよく】しみている、の意。 |
●でーこんに味がぼっけーしゅんどらぁ(大根にいい味がついているなぁ)。 |
背負って荷物を運搬するための道具 。 |
木の枝で作った割り木をかたぐための「しょいこ」や、編竹製の「まつご」をいれる「しょいこ」など、いろいろありました。 |
|
しょうやく・ |
サツマイモや大根のヒゲを取って収穫後のととのえをする事。 |
|
症状を表現する反復言葉 |
●イジイジする(軽いかゆみ) |
|
諸君では無い。 |
結構各所で通じる言葉だったのね。 |
|
じょー |
間。 |
|
しょたいば |
台所、の意。板場とも言う。所帯場と書いて岡山訛で「しょてーば」と言う。 |
|
じょん |
自由、の意。自由が訛った物。方言とも思えないが一応挙げておく。 |
じょんならん(自由にならない・自分の思い通りにならない)。 |
しょんべん草 |
「ギシギシ」という名前の野草。あるいは、それに似た「スイバ」という野草かも。 |
【植物】 |
じるい・ |
普通は訛って「じりー・じりぃ・じゅりー」等と云う。湿ってびちゃびちゃした様。 |
この道じりーが(道が【雨などのため】ぬかるんでいるよ)。おめーの鼻ちーと、じるーねーか?うんにゃ、いっこもじるーねぇ(お前、水鼻になってない【つまり風邪じゃないの】?いいえ、少しも水鼻ではありません)。 |
しろく |
(1) 「拡げる」の意。 |
(1) 花見に行って「雨降りょーるけぇゴザぁしろかんと待っとこーえ。」(雨が降っているのでゴザを拡げずに待っていましょう) |
しわい・ |
(1) しなってなかなか折れない様 。 |
●この生木はしおーてなかなか折れんが(この生木はしなってなかなか折れない)。 |
しわむ |
「撓む(たわむ)」の意。 |
木の枝に乗っている子供を見た人が「えだがしわみょーるけぇあぶねぇーぞ(枝が曲がりつつあるから危ないぞ)」 |
〜しんさい、 |
●しなさい、の意。 |
備前の命令形は、 |
しんや |
分家、の意。 |
|
すえる |
(1) 腐る。古い標準語らしい。備前ではちょくちょく使われていた。 |
(1) めしがすえっしもーとる(ご飯が腐ってる)。 |
ずくし |
柿の実が熟れて軟らかくなった物。 「ずくしがき」とも言う。 |
【農業】 |
すくも |
モミスリ後のモミガラ。 |
【農業】 |
すける |
物を「置く」事。 |
この櫃、棚の上へすけてーて(この櫃を棚の上に置いて下さい)。 |
ずたこ |
びしょ濡れ。 |
どしゃぶりにおーてずたこになってしもーた(ひどい雨のためにびしょ濡れになってしまった)。 |
すっぽん |
ヤマブキの木。 |
【植物】 |
すねぼん・ |
膝の意。 |
すねぼんをすりむぃてしもーた(膝に傷を負ってしまった)。 |
すばびる |
縮んでシワのよった様 。 |
桃がすばびてしもーた(桃が食べられなくなった様)。 |
すばぶる |
(主として乳に)吸いつく。 |
乳がすばぶられて、すばびてしもーた。(意味は各自考えて下さい) |
すばろーしー ・ |
備中方言との事なのだが、備前でも使う。貧相な、と云う意味。 |
|
すわびる・すわぶる |
それぞれ「すばびる・すばぶる」の意味らしい。辞書にはこちらの表記で載ってたりする。 |
|
動詞(未然形)の語尾について(「うぜー」が接続)可能性の高い推定(発言者はほぼ間違いないと思っている)を表す。 |
こねーにてんからぼしが続きゃー稲もかりょーぜー(こんなに日照りが続くと稲も枯れるにちがいない)。 |
|
せーせー |
しばしば |
せーせーせーそくせられー(しばしば催促しなさい)。 |
せーの |
荷物を複数人で持つ時の掛け声なのだが、次第に変化した。 |
|
せぐ |
(犬が)吠える、の意。 |
まーたせぎょーらぁ(また犬が吠えている)。 |
ぜぜ、ぜぜこ |
銭、の意。幼児語。 |
祭りでぜぜこを落としてしもーたか(祭りで銭を落としてしまったか)。 |
いじる・触る。事態を悪化させる事が予測される場合に使う。「せせくる」も同じ意味で使う。 |
●せせりめぐな(いじって壊すなよ)。 |
|
せっとる |
「せっとる」とは備前では「急いでいる」という意味になるから、それが方言とは思っていなかったのだが、備中(*4)では「混んでいる」という意味になるようだ。 |
「えれーせっとるのぅ(ひどく急いでいますねぇ)。」 |
●狭い溝のような土地、あるいは裏庭の意。 |
少なくとも岡山〜山口にかけ中国地方一円でかつては使われていた言葉のよう。 |
|
せな |
背中。アクセントは「な」 |
せなーなげーてつけぇ(背中を流して【洗って】下さい)。 |
せらう |
「嫉妬する・うらやましがる」と云う意味。 |
せらわんの(【他人の持ち物を】欲しがらないの)。 |
せわ |
面倒をみないといけない(助けが必要)状態。 |
せわーねーか(大丈夫か)? |
せんち | 便所。 | *** |
せんばこぎ |
長さ20cm程度の細い鉄の歯が櫛状についたもので脱穀に使った。 |
【農業】 |
せんばり |
奪い合い・争奪戦 |
一つしかねーおもちゃーせんばりえーこせんの(一つしなないオモチャを奪い合いしないの)。 |
そーけ・そおけ |
竹で編んだザルで台所用品。 |
【農業】 |
そーで・ |
「すぐに」の意。 |
そーでみててしまうねぇー(すぐに無くなってしまうだろう)。 |
そげ |
指などに小さな木片が刺さったもの。 |
とげ抜きでは無く、そげ抜き、となる。 |
そこいりまめ |
落花生・南京豆の事。 |
【植物】 |
ぞぞけ |
恐怖心を現す「身の毛」の事 |
ぞぞけが立つ(身の毛もよだつ)。 |
ぞな |
断定・嘆息を表す。 |
おえんぞな(駄目です・駄目だよなぁ)。 |
そねーな |
そんな。 |
|
そねーに・そがーに |
そんなに 。 |
そねーにせくな(そんなに急ぐな)。 |
そばぇ・ |
小雨。 |
そべぇがきょーらぁ(雨雲が来ているなぁ --- 通り雨になりそうだ)。 |
そび | 通常「そびをかう」と使って「反発をまねく」の意。 | なにもそねーに、そびゅーかうよーなことをせんでもえーが(ことさら反発をまねくような事をしなくてもいいのに・寝た子を起こすようなマネをしなくてもいいのに)。 |
ぞんぞ |
●「ぞんぞがする」「ぞんぞが立つ」「ぞんぞがつく」などと表現して、いずれも鳥肌がたつ、乃至、寒気がする、という意味。 |
ぞんぞがするけぇ、会社ぁ休まぁー(悪寒があるので会社を休みます)。 |
ぞんぞん・ゾンゾン |
●寒気がする、の意。 |
(1) ぞんぞんするけぇ、会社ぁ休まぁー(悪寒があるので会社を休みます)。 |
たー |
「とは」が訛ったもの。日常会話で頻用される。同じく「〜のは」は「なー」と訛る。 |
風邪たー言わん(風邪とは言わん)。自分なーやらん(自分のはあげない)。 |
たいぎ |
普通は「てーぎ」と訛る。面倒な・やりたくない・退屈、の意。 |
(1) てーぎなわぁ(面倒だな)。 |
たいこむし |
タガメ。 |
【昆虫】 |
たう |
空間的な意味で「足りている」、距離が足りている、の意。足りるが訛ったものかも。「たう」では無く、否定的な「たわん」と云う使い方が一般的。 |
足がたわん(足が届かない)。 |
(1) 筋骨系を外傷により痛める事。手足が急激な外力によって痛み出した場合に「たがう」と言う。従って、骨折もあれば脱臼・捻挫・腱断裂から単なる打ち身まで各種の状態を指す。 |
(1) ありゃ、足をたごーたがん(暗黙の内に足が痛いとも言っている)。 |
|
たけ |
きのこ、キノコの事。広島県では「なば」と云う。発音の微妙な差で「竹」の事にもなる。「きのこ」の方は「た」にアクセント、「竹」の方は「け」にアクセント。 |
個人的にはよく「タケノコ」と勘違いしていた。 |
だちん |
ついでに、という意味。 |
●行くだちんにタバコをこうて来て(行くついでに煙草を買って来て)。 |
たった |
(1) 足りた、の訛。 |
(1) よーけぇ飯ゅーついでくれたけーたったわ(たくさんご飯をよそおってくれたからおなかいっぱい)。 |
たてらかす |
(1) 立て掛ける。 |
(1) たけゃーかさがあるけー なやへでもたてらかしてーて(竹は嵩張るから納屋へでも立て掛けておいて下さい)。 |
たてる |
(1) 立つ。 |
(2) ふすまをたててーて(襖を閉めておいて下さい)。 |
だびす |
●「だびそ」とも言う。五右衛門風呂の下についている水抜き栓の事。樽酒や樽醤油の栓という意味でも使われた。 |
例文は「さな」を参照。 |
だまかす |
●「だまくらかす(だます)」の短縮形だろう。 |
だまかしちゃーおえんぞ(騙してはいけないぞ)。 |
だらず・ダラズ |
●岡山では美作地方から備後の中国山地にかけての方言で「怠け者・横着者」。 |
だらずなやっちゃ(怠け者)。 |
だる |
(1)「だるい」は形容詞だが、これは動詞。くたびれる・疲れる、を意味する動詞。古語。 |
(1) だってだってしょうがねー(疲れて疲れて仕方がない)。 |
たるき |
屋根を支える木では無くて、作物を干すために使う長い木。 |
冬場、軒下に大根やタマネギを「たるき」に架けて干していました。 |
だんごばち |
スズメバチ。 |
【昆虫】 |
たんころ |
単車・バイク。 |
「バタバタ」という言葉もバイクを意味する場合がある。ただ「ばたばた」という(空冷エンジンの)音をたてて走る物を指す言葉だったので、オート三輪やミゼットや原動機付自転車(言葉通りです。みかけは自転車です。)や陸王など、いずれも「バタバタ」でした。 |
だんだら・ダンダラ |
(1) 服が泥や墨などでマダラ模様になる。綺麗な横縞や新撰組の服の模様のだんだらでなくてもよい。 |
泥水をかけられて服がだんだらこになった。 |
たんびゅーに |
その度に・毎回・そのつど。 |
たんびゅーにみずーかえんとおえん(そのつど水を変えないといけない)。 |
ちーと |
「ちょっと」が訛ったもの。少し、の意。 |
もちーと前へでられー(もう少し前へ出なさい)。 |
ちーときま |
少しの間、の意。 |
ちーときま、まちょーりゃーバスが来るねぇ(少しの間、待っていればバスが来るでしょう)。 |
ちかまわり |
近所、の意。 |
ちかまーりぅさがしてみらぁ(近所を探してみるよ)。 |
ちごう |
違う、の意。 |
まちごーてばー(間違ってばかり)。 |
ちっこい |
小さい、の意。 |
ちっこいうおじゃのー。 |
ちばける |
ふざける、の意。 |
●ちばけるな(ふざけるな) 。 |
ちびる |
すり減る。 |
靴底がちびてしもーた(靴底がすり減った)。 |
ちまい |
小さい、という意味。「ちんまい」とも言う。 |
ちんめーうおじゃ(小さな魚だ)。 |
ちゃ |
岡山県では美作地方から備中の山間部で使われているとか。 |
おえんちゃ(駄目だっちゃ)。 |
ぢゃーてー |
だそうだ。伝聞の意を表す。 |
嘘ばーぢゃーてー。(嘘ばかりだとさ) |
ちゃらかす |
ごまかす。 |
ちゃらかすばーすなぁ(誤魔化すばかりするな)。 |
ちゃんちゃん |
一般の「おじさん」という意味なのだが見知らぬおじさんではない。子供が自分と仲良しの「おじさん」に対して使う言葉。 女子も同じ言葉を使ったのかどうかは不明。「ちゃんちゃん」は父親を指す言葉ではない。後の「ちゃん」の方にアクセントがある。 |
【父親が子供に】さー、ちゃんちゃんが来たけー、一緒に遊んでもらえ。 |
ちゅー・ちゅう |
空、という漢字が一番近い意味になる。 |
●ちゅーで喋る(書かれた物を見ないで喋る)。 |
ちょー・ちょぅ |
発音は「ちょぅ」の方をよく使う。 |
●ちょぅ下げる(少し下げる)。 |
ちょびっと・ |
少ない。 |
●ちょびっとばーな(少しだけね)。 |
きりぎりす |
|
|
ちりばね・ |
服に飛び散った泥の飛沫。 |
|
ちんちんばらばら |
爆発により粉々になる様。先頭のちんちんがどのような意味なのかは不明。推測だが「珍々」ではないかと。元々は手品あるいは見せ物用語だったのかもしれません。悪乗りしてもう一つ。「ちんちんかいかい」これは「珍々怪々」。意味は読んで字の如し。 |
多分、いんちきおじさんが居た頃に、そういった人々が広めたのではないかと。だから方言とは言い難いような。例えば後の言葉では。「さーさ、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい、親の因果が子にむくい(たたり)、生まれてきたのが、この子でございます。ちんちんかいかい、ききかいかい(奇々怪々)。お代は後でいいよ。」 |
ちょっきし・ |
ちょうど 。ちょっきし、の方が普通に使用された。 |
ちょっきし半分(丁度半分)。 |
ちんぎる |
ちぎる・ちょん切る、の意。 |
|
つえる | (形が)つぶれる、崩れる、という意味。備中の山間部での使用は確認済み。 アクセントは「え」にある。 備前では聞いた覚えが無い。 |
大きな対象物に使用するようで「山がつえる(崩れる)」とか「橋がつえる」は言うけれど、 「プリンがつえる。」とは言わない、との事。 |
つく |
「【魚を銛で】突く」の「つく」と同じく、「く」にアクセントがある。 |
たのあぜょーつかんとおえん(田の畔を泥で【水漏れしないように】固めないといけない)。 |
つくり |
刺し身の事。 |
|
つけぇ・ |
●動詞の後に付いた丁寧語。 |
●てごーォしてつけぇー(手伝って下さい)。 |
つどう |
予定が重なる。 |
そりゃーつどうけーあさってにまわそーえ(そうすると【行事予定が】重なるから【一方を】明後日に変更しましょうよ)。 |
つねきる |
爪などで「つねる」事。 |
なんもそねーつよーつねきらんでもえーが(なにもそんなに強くつねらなくてもいいのに)。 |
つみきる |
爪か、あるいはハサミで物を切る、事。 |
花をつみきってちょーでー(花を【ハサミで】切り取って下さい)。【ハサミで無く、爪で花弁だけを取るのだと解釈する人がいるかも】 |
つむ |
(1) 混雑する。岡山以外にも関西方面を中心にかなり使用されているよう。 |
【(1)の意味で】前の方、車がえれーつんどるな(前の方で車がひどく混んでいるな)。 |
つめる |
はさむ、の意。アクセントは「め」。何かに指などが挟まれた時に使う。ヤクザ映画などで当たり前のように使われているので標準語かと思ってました。 |
タンスの隙間で指をつめてしもーた(【箪笥を動かしていて】隙間で指を挟んでしまって【痛い】)。 |
つれなう・ |
一緒に、の意。 |
のみのみー話もできゅーけぇ、つれのーてのもーえ(飲みながら話もできるから、一緒に飲みましょう)。 |
でーしょう・でぇしょう |
「多少、少しだけ」の意。 |
でぇしょうすずしゅーなりました(少し涼しくなりました)。 |
てー・てや |
文末に置いて依頼文を表す。 |
てごーしてー(手伝ってよ) 。芋ーくべてや(芋を火に入れてよ)。 |
てーてぇ・てーてえ |
(1) 並大抵。 |
(1) てーーてぇじゃあ済むまぁ(並大抵の事では済まないなあ --- 苦労しないと問題が解決しないだろう)。 |
でーてぇー |
(1) だいたい、およそ。 |
(1) てーてぇーの事ぁそれでええ(大抵の事はそれでよい)。 |
でがけ |
出口、の意 。別に出口と決まっていない。入口でも「でがけ」という。出入口を家の中に入った場所。 |
でがけにおいとろーが(出口の所に置いてるはず)。 |
てごー ・ |
手伝い、の意 |
てごーしてー(手伝ってよ) |
でこひこ |
でこぼこ、の意 |
道がえろーでこひこしとる(道がひどく凸凹だ)。 |
でーれー |
関西弁のどえらい、の意、あるいはそれが訛ったもの 。類:ぼっけー。 |
|
てっきゅう |
魚を七輪で焼く時の鉄製焼き網。 |
|
てっぱらぽー |
無一文・スカンピン。「でまかせ」という意味の「てっぽう」と同類かと。 |
●麻雀で負けて「てっぱらぽー」になってしもーた(文無しになってしまった)。 |
てっぱる | ●張り合う、競り合う、反目する、の意。 アクセントは「ぱる」 |
●(1) 【つっぱりな人に】そねーなてっぱり髪をせんでもえーがん(そんなにつっぱった髪形をしなくてもいいじゃないの)。 ●(2) ロミオとジュリエットの家は「てっぱりおーとった」。 ●(3) そねーにてっぱらんでもえーがな(そんなに意地を張り合わなくてもいいじゃない)。 (3)【注意】上記の意味は、発言者以外に相手と第三者がいる場合。そうでは無く、発言者と相手だけなら「そんなに俺の【言う】事が気にくわないのか」くらいの意味になる。 |
てっぽう・てっぽー |
(1) でまかせ、ホラ話、の意。 |
●どーせてっぽーにきまっとらぁ(どうせホラ話にきまっている)。 |
てっぽううち |
「ほら吹き・うそつき」の事。 |
|
てにあわん |
手におえない。 |
大抵は「あのくそガキゃー」の後に続く言葉です。 |
(1) てれんこてれんこ |
のんびりしている状態。 |
てれんこてれんこしょーりゃー日がくれるねぇ(のんびり仕事をしていると夜が来るだろう)。 |
てんからぼし・ |
日照りで、水が無い状態。 |
●こねーにてんからぼしが続きゃー稲もかりょーぜー(こんなに日照りが続くと稲も枯れるにちがいない)。 |
てんくら |
瘋癲、の意。 |
えーつぁてんくらじゃけー(あいつはマトモじゃないから【近づかない方がいい】)。 |
てんごー(てんごう) | (1) いたずら、の意。 アクセントは「て」。 (2) いたずら、から派生して「うそ」の意味としても使われる。 例文は「ほん」を参照の事。 |
てんごーばーしょーりゃーいがやってしまうねぇー(いたずらばかりしていると将来は不良になるだろうな)。 |
てんころ |
小さな車輪の意。 |
カタカタはてんころがついとるけーよーころがる(子供の玩具のカタカタは小さな車輪が付いているからよく転がる)。 |
てんころづち |
きぬた、砧 |
|
てんころばし・ |
岡山では比較的ポピュラーだった妖怪。 |
岡山のキツネは、この他にも「宙狐(ちゅーこ --- 狐火)」 |
てんごろやすい・てんごろやしー |
備前下津井の方言で「簡単」とい意味。 |
|
てんばさー |
「でたらめな・きちんと整理されていない」の意。名詞形は「てんば」。 |
(1) なょーてんばさーにうえてしもーて(【田植えの時】苗をデタラメに植えてしまってからに)。 |
てんまる |
鞠の意。 |
てんまるをよーつきょーてじゃ(鞠をつくのが上手だねぇ・よくついていますねぇ)。 |
とーから・とうから |
ずっと前から。 |
●そねーなこたぁ、とーからしっとったわ(そんな事は以前から知っていたよ)。 |
ザリガニの意。本来トーチカとは塹壕戦の重機関銃座。ザリガニは水田の土手に穴を開けるので困りものだったが、その穴がトーチカを連想させたためだったかと。このザリガニは99%アメリカザリガニの事を意味する。日本ザリガニは体型も小さいためか、水田の土手に穴を開ける事は滅多になかった。 |
【動物】 |
|
どーちん |
どんこ。 |
【魚類】 |
とーに |
とっくに。 |
●とーにすんだわ(とっくに済んだよ)。 |
どうぞこうぞ |
どうにかこうにか、なんとか、やっとのことで。 |
●よーすぅどーぞこーぞしめーた(モミスリがやっと終わった)。 |
とうや |
神社の祭礼や講の行事にあたってその中心となる人又はその家、と云う説明が辞書などにはある。 |
|
どしゃげる |
ぶつかる・衝突する |
通りのかどで自転車と、どしゃぎょうーった(通り道の角で自転車と衝突しそうになった)。自動車同士がどしゃげて、へしゃげてしもーとった(自動車同士がぶつかって、つぶれてしまってた)。 |
とそんぞく |
●いきなりな・軽率な、の意。 |
にーさんはとそんぞくなんじゃけー(兄さん【若い男性を意味する二人称】は何も考えずに行動するんだから)。 |
どたこ |
泥足・土足 |
どたこのままえんだへあがっちゃーおえんぞ(泥足のままで縁側に上がってはいけません)。 |
どっちねーと |
「どちらなりと」の訛り。 |
どっちねーとすりゃぁえーが(勝手にせい)。 |
どってんしゃ |
「じーてんしゃ」「じーてん」「じいてん」「どってんしゃ」、果ては「どってん」とも。 |
「どてんしゃ」が関西弁だったとは、、、。 |
どっと |
「大した物・素晴らしい物」という意味。 |
どっとした事をしたのう(素晴らしい事をしたねぇ)。 |
とっぺん |
「頂上」の事。「てっぺん」ともいう。「ひょっこりひょうたん島」というTV番組で「てっぺんかけたか」という名前が出ていたので「てっぺん」が標準語だと気付いた。 |
山のとっぺん。 |
どどくる |
「どもる」の意。 |
●どどくるばーしてなにゅーいよんなら(吃りながら何を言ってるんだ)? |
どねん・どねー |
「何・如何」の意。 |
●どねんしょん(何をしているの)? |
とばかす |
●途中を省略する「とばす」の意。 |
●はなしゅーとばかすばーしちゃーおえまー(話を省略するばかりしては駄目でしょう)。 |
どびる |
●「うんのびる・死ぬ」の意。 |
●もう半世紀以上も耳にしていないので、 はっきりとしないが、当時の子供連中が 流行らせようとして造った言葉だったかと。 |
どびんご |
●鳥のヒナ、の意。 |
鳥類 |
とらげる |
片づける、仕舞う、の意 。 |
●おしこみにてんまるをとらげてーて(押し入れに鞠を仕舞っておいて下さい)。 |
とれいる ・ |
仕舞う、の意 。 |
「とらげる」とよく似ているので一緒の箇所に記述していましたが、ニュアンスがちょっと異なるので分けてみました。家の外にある物を家の中にしまい込む時によく使う。「とりいれる」が変化したものか。 |
とんぎる・ |
「とんがる・とがる」の意。単なる訛りか否かは不明。 |
あぶねーけぇ、とぎった棒ー振り回すなぁ(危ないから先のとがった棒を振り回してはいけません)。 |
どんきゅう・ |
泥鰌、ドジョウ、どじょう。 |
握ると「キューキュー鳴く」のでドンキューだったかな。 |
どんけい・どんけー |
どのくらい、の意。 |
こっから駅までどんけーかかる(駅までの所用時間は)? |
どんごろす |
黄麻袋。 |
脱穀後の籾を入れるのが「かます」で「よーす」(籾摺)後の玄米を入れるのが「どんごろす」でした。 |
とんさき |
先端。 |
●岬のとんさき(岬の先端)。 |
どんつき |
道の行き止まり。 |
この道をどんつきで右へ曲がる(道の行き止まりで右へ曲がる)。 |
どんど |
たき火。 |
こねーに、さびー朝にゃ、どんどが一番(こんなに寒い朝にはたき火が一番いい)。 |
どんなげな |
方言とまでは言えない。慣用句。 |
釣り人に「どんなげな?(釣れますか?)」 |
ながや |
「納屋」の事。物置小屋とも言う。 |
|
なきみそ |
泣き虫。古くは全国区で使われていた言葉のよう。 |
|
なしる・ |
いずれも、擦り付ける、の意。 |
鼻なすりつけりょるけー袖がてかるんじゃー(青鼻を擦り付けるから【黒い】袖口が白く光るんだ)。 |
なまける |
湿気る、の意。アクセントは「る」にあり、かたや「怠ける」のアクセントは「まけ」にある。 |
例文・解説は「めたる」を参照の事。 |
なめらすじ・ |
●嘗て神様の通り道だったものが、信心が薄れて、魔物の通り道になったものだとか。 |
古い神様が魔物にされるのは日本に限った事では無く耶蘇教などでもあったようだ。 |
なら |
疑問文の最後に接続させて、発言者の恐怖・不安・不審を表現する。意味は「いったい〜だい?」と同じ。 |
●(1) なにゅーいよーんなら(何を言ってるのだい【お化けでも出たのか】)? |
なるい |
坂道の傾斜が緩やかな事(1)。力などがゆるい事(2)。手ぬるい事(3)。 |
(1)なりー山じゃ(傾斜がゆるやかな山だ)。 |
なんば |
トウモロコシ。 |
|
なんぼうにも |
何といっても、まったくもって、ほどの意味。 |
わしゃーなんぼうにも不思議でおえんのじゃ。 |
にえぶとり |
にわか太り、 |
しんちゃん:「にえぶとりじゃのー。」 |
にお |
背中に荷物を結わえるための紐。自転車の荷台に荷物を結わえる紐。等 |
におーするのー忘れとったけーしょいこからわりきがまけてしもーた(背中に背負う荷物運び装置にひもをかけるのを忘れていたので、背負っていたまきが落っこちてしまった)。 |
腹の痛みを「腹がにがる」と言う。 |
足の痛みを「足がにがる」とは言わない。 |
|
にぎり |
「にぎりずし」の事。 |
|
にだえる |
●蒸し暑い、の意。 |
●えろーにでぇーるのー(ひどく蒸し暑いなぁ)。 |
にやす |
(1) 煮る、の意。 |
(1) 芋をにやしょーたら、くぎてしもーてな(芋を煮ていたら焦げてしまってね)。 |
にわ |
●玄関を入った場所にある土間。 |
標準語では「たたき」か。 |
ぬけぶり |
大雨。 |
|
ぬらりひょん |
岡山では瀬戸内海に出る妖怪とされる。 |
瀬戸内海に出るものではむしろ舟幽霊(ふなゆうれい)の方が有名かと。 |
ねぇ・ねー |
●「〜では無い」あるいは「備中弁で命令を表す「ねぇ」」と云う意味とは違い、動詞の語尾に付いて、話者の意志あるいは未来を表す。 |
●(一人称)どべにわーら、切り込むねぇー(泥の中にワラを切って入れなくちゃ)標準語に同じ表現が無いので「なくちゃ」で代用。 |
ねき |
根元、の意。 |
木のねきの本(木の根元に置いてある本) 。 |
青大将・アオダイショウ。蛇の名前。 |
家の守り神なので、天井の節穴から「ねずみとり」が顔を見せても驚くには及ばなかった。 |
|
ねぶか |
ねぎ、の意。 |
植物 |
ねぶち(根鞭) |
竹の根。 |
ぶってーねぶちじゃ(太い竹の根だ)。 |
ねんごう |
「くちごたえ」あるいは「生意気な物言い」 |
*** |
のおなす・のおす |
「失う」 |
【私が】鉛筆ぅのおしてしもーたんじゃ(鉛筆を失ってしまった)。 |
のーなる・ |
いずれも無くなると云う意味。 |
のーなるまー(無くならないだろう)。 |
のに |
「なのに」の「な」を省略してしまう。 |
以下の意味は同じです。 |
のふうぞ |
岡山の方言として有名になっているようだが、 |
|
のぶとい |
大胆、荒々しい、の意。 |
●のぶてー声じゃ(荒々しい声だ --- 声に使うのは標準語用法かも)。 ●のぶてーことぉよーる(ずうずうしい事、あるいは大胆な事、を言っている)。 |
のる |
(1) 背筋を伸ばす、の意。アクセントは「の」。 |
(1) ちゃんとのって歩かにゃ、腰ぃ痛とーなるんじゃけー(ちゃんと背筋を伸ばして歩かないと、腰が痛くなるんだから)。 |
のーん |
乳児に母親が使う言葉。ミルクなど飲ませる時に「のーん」して、と使う。上を向いて、という意味。 |
|
のんのんさん |
仏様。 |
|
はぁ・はー |
「早くも」を意味する副詞。 |
【例】はぁ着いてしもうた(早くも到着した)。 |
ばー ・ばぁ |
(1) ばかり・だけ。 |
(1) 食うばーしちゃーおえん(食べるばかりではいけない)。 |
はいとりがみ |
蝿取紙と書くとわかる。 |
蝿のことを「ハエ」とは言いません。 |
はさがる |
はさまる、の意。 |
ズボンのチャックにパンツがはさがって閉まらんのよ。 |
はしかゆい・はしかいー |
かゆい、の意。くすぐったいような軽度のかゆみ。 |
ようすの後じゃけー背中がはしかゆーておえん(籾すり作業の後だから背中がちくちくとかゆくていけない)。 |
はじかい |
棒や棚などを両側から支えている物の事で、木に彫られた穴だったり、くさび形の木片だったりする。 |
そこのはじかいをはずして(棒や棚などを取り去る時に行う)。 |
●ピリピリする痛み 。 |
●傷がはしる(傷が痛い) 。 |
|
はじし |
はぐき・歯茎の事。 |
|
はずむ |
「はずむ」のが心であれば楽しかろうが、ここで「はずむ」のは膀胱や直腸。つまり便所へ行きたくてしかたが無い状態を指す。 |
高速道路のバスの中でビールばー飲みょーると、はずんでも便所にゃすぐに行けんよ。 |
はぜ |
秋に田で稲刈りをした後、稲を1束にして棒に掛ける「稲掛け」に関連する言葉。 |
コンバインが農作業に導入されて以後は使われない言葉になりました。 |
はせる |
はさげる・はさむ、の意。 |
この紙ぃドアにはせてぇーて(この紙をドアにはさんでおいて下さい)。 |
はたけ |
顔面の部分的な肌荒れ。 |
●はたけができとるがな。やせーをくわんけーじゃ(野菜を食べないからだ)。 |
はたげる |
和服などのすそが風などで開いている事。 |
服ぅはたげてどけーいきゃー(服の裾が開くほど急いでどこへ行く)? |
はちまん |
おてんば、の意。 |
|
ぱっちん・パッチン |
おめこ、の項を参照の事。 |
|
はっとーじ |
●触ると臭い「かめむし」との事。備中から備後にかけての言葉のよう。美作では「がいだ」と云う。 |
|
はつめーな |
利口な、の意。 |
はつめーな子じゃ(利口な子だ)。 |
●ビンタ・平手打ち、の意。 |
はつったろーか(「いてもーたろか」と同じ意味・用法)。 |
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はな |
端、の意。 |
●机のはなーもてー(机の端を持て)。 |
はなずり |
右記のような使い方をする。 |
●はなずりをくう(足を引っかけて転んで膝などにケガをする)。 |
ばば |
●うんこ、の意。 |
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はばしこい |
●すばしこい、の意。これから語頭の「は」がなくなり、二番目が清音化して「はしこい(すばやい)」になった。 |
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うつ伏せになる、の意。 |
●九州方言で「掃く」ことを「はばく・はわく」と云い、山口県下関辺りでも使っている。 |
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すねる・ ふてる・立腹。 |
岡山ではあまり聞き慣れない言葉だが備前から西の広島になると「はぶてる・はぶたれる」と云う。広島方言 |
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はま |
二輪・三輪・四輪車の地面と接触して回転する部分。車輪・タイヤを意味する。 |
例文は「ひーる」を参照の事。 |
●マムシ(毒蛇)の意 。 |
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はらあたり |
●腹痛ないし下痢をきたす疾患の総称 。 |
子供はよーはらあたりゅーする(子供はよく腹痛を訴える)。「子供はよーはらーめぐ」は同じ意味。もっとも下痢が主体の場合は「子供はよーはらさげょーする」。 |
はらいばり |
●腹が膨らんだ状態 。ほとんど『はらあたり』と同義語として使われた。 |
はらいばりゅーしょーんか(腹が痛いのか)? |
はりまわす・ |
●はりまーす・はりまわす(平手打ち) |
●余談だが「どしゃげる」も下品とされ、学校で使用禁止になったとか。 |
ばんがた |
夕方 。 |
●ばんがたになりゃー冷え込む(夕方になると冷え込む)。 |
ひこずる |
引きずる、の意。 |
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ひーご・ひいご |
つばめ、の意。 |
【鳥類】 |
びーび・ビービ |
虫のカナブン。幼児語。 |
【昆虫】 |
ひーる・ |
【水面などを】跳ねながら滑る、の意。 |
●【河原で小石を投げて遊ぶ水切りは】よく「ひーる」石を選ばんと跳ばんよ。 |
ひじゃーから・ひじゃから |
だから、の意。 |
ひじゃからゆーたろーが(だから言ったでないの)。 |
ひじゃーけど・ひじゃけど |
だけど、の意。 |
ひじゃーけど間に合うまぁ(だけど間に合わないでしょう)。 |
びしょ |
水に濡れた様。 |
にわか雨に降られてびしょになった(にわか雨に降られて濡れてしまった)。 |
ひすね |
●いぼ。医学用語では尋常性疣贅の事でウィルス感染症の一つ。 |
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ひずらしい・ひづらしい |
まぶしい。 |
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ひちゃげる |
平らになる・つぶれる、変形する、という意味。 |
四角にひちゃげたスイカがあるんじゃてー(四角形に変形したスイカがあるんだとさ)。 |
ひっさ |
長い間 |
●ひっさ入院しとったんよ(長い間入院していたのよ)。 |
ひっちゃぐ |
●つぶす、の意。 |
かんからをひっちゃぐばーしても、かたづけにこまらー(空き缶をつぶすばかりしても、後片づけに困るよ)。 |
ひっつきもち |
●犬などの動物の毛にくっつく植物の実。 |
植物 |
ひなえる |
●委縮する・力が入らないの意。 |
●なごー水ぅやらんかったけぇ花がひなえてしもーたが(長く水をやらなかったから花がしおれてしまったよ)。 |
ひねきる |
つねる。ほぼ女性専用動詞。 |
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●いじり回す。同じ、いじる、にしても「せせる」のは物を壊したりする方向、「ひねくる」のは物を「作る」あるいは「直す」方向。 |
ろくろを回して土をひねくる。壊れたラヂオをひねくってもなおりゃーせん。 |
|
ひねりだし |
チューブを押さえて内容を出すようにした製品。 |
せなーかいーときゃ、ひねりだしゅーぬりゃーえー(背中が痒い時には軟膏を塗ればいい)。 |
ひりつく |
水分が無くなってくっつく事。 |
●のどがかわぇーて舌がひりつく(のどが渇いて舌が口腔にくっつく)。 |
ひりつける |
虫が卵を「産み付ける」事。 |
蝶が卵をキャベツにひりつけとる(産み付けている)。 |
びる |
●「びり(最下位)」を転化させて造った言葉のようだ。 |
当時の学童言葉で符牒かと。 |
ひょろどう |
足下がふらつく |
そねーなとこでひょろどーとったら川にはまるぞ(そんな場所でふらついていたら川に落ちるぞ)。 |
ひょんなげな |
変な、の意。 |
ひょんなげな事ばー云われなー(変な事ばかり云わないで)。 |
ひんがらめ |
斜視、の意。 |
|
ふーまん |
●おおばんやき(昭和40年代中頃に最初に聞いた)。 |
確か「夫婦饅頭」の短縮形だったはず。 |
ふう |
世間体 |
ふうがわりー【ふうが、わりー】(世間体が悪い - 村の皆様に対して申し訳が立たない)。 |
ふくふく・フクフク |
幸福感を表現する言葉ではない。 |
腹がふくふくするけぇトイレへ行てくらぁ(おなかが張るのでトイレまで)。 |
ぶげんしゃ(分限者) |
●本来、田畑を沢山所有している者の意であろう、転じて、金持ち 。 |
あそこは、ぶげんしゃじゃ(あの家はお金持ちだ) けぇなぁ。 |
ふご |
●竹ないし藁(わら)で編んだ籠。 |
【農業】 |
ふすもる |
● (煙が)こもる。 |
けむりがふすもりょーるけぇまどぉあけてー(煙がこもって来たから窓を開けて下さい)。 |
ぶち |
●備前では「ぶち」というと |
今日はぶち暑いーっちゃ。 |
ふなめし |
江戸時代に書かれた書物の中で備前の名物の一つに上げられている。 個人的にはあまりおいしいと思った事はない。 |
現在では衰微したようで、備前で「ふなめし」は名物ならず。備中方面、高梁川に残るのみ。 |
ぶに | 分け前、という意味。 備中方言。児島・玉野方言。 備前では普通に「分(ぶん)」という。 |
この前のぶには、つこーてしもーた(前回のぶんは使ってしまった)。 |
ぶり |
(1) 雨 |
(1) おろぶり(小雨)・ぬけぶり(大雨) (2) ぼっけーぶりばーつきょーても、どーせ川にはまるばーじゃ(【川を飛び越えようと】強く勢いをつけていても、どうせ川に落っこちるだけだよ)。 |
ぶる |
備前の方言では無いが「ぶり」を動詞化したと思われる言葉。備後方面で使われる。漏れる・こぼれる、の意。 |
バケツから水がぶった(こぼれた)。 |
ふるう |
振り払う。 |
服のゴミぐれーふるーとけぇ(服に付いたゴミくらい振り落としなさい)。 |
へーで・ |
それで、それから、の意。「へてから」は古い言い回し。 |
へーで、へーで、へーからですんだ(相手に物事の説明をしたくない時の子供用常套句。おせは使わん。)。それでね、それでね、それからでお終い。 |
へぇと・ |
●「乞食」と「目の周りの吹き出物」の二種類の意味がある 。 |
●「ものもらい」と云う言葉と同じ。 |
べか・ベカ |
小さなイカで「ヒイカ」の事。 |
【備前南部では「べーか」という風が一般的】 |
へこさか |
逆さま、の意。 |
|
へしゃぐ・へしゃげる |
つぶす・つぶれる、の意。 |
|
へずる・ |
減らす。上前をはねる。へつる、と云う言い方はあまりしない。 |
給料が税金でへずられるばーする(給料が税金で減らされるばかり)。 |
へた |
(1) 食パンの耳 ---> つまり端、の意。「パンのへた」と言う。 |
(3) の柿の「へた」は煎じて服用すると「しゃっくり」に効果があるとの噂。 |
べた |
地面。 |
べたで話さんでも、おえへあげ(agoe?)ーてぇ(土間で話しないで、座敷へ上がって下さい)【注:「げ」と「ご」の中間音、ドイツ語のoウムラウトの発音になる。ちょうどゲーテと同じ。】 |
へたる |
(1)疲れ果てて、座り込む事。 |
(1)ずーっと道ばたぇへたりこんでぇーてもおえまー(いつまでも道傍で座りこんでいても駄目だろう)。 (2)タイヤがへたってしもーとるけー交換せにゃー(タイヤがすり減ってしまっているので交換しないと)。 |
へちゃげる |
平らになる・つぶれる、という意味。 |
蛙が道ばたでへちゃげとったぞな(蛙が道で【車に轢かれて】潰されてたよ)。 |
べったらこ・ |
ぺちゃんこ・平らになる、の意。 |
●餅がべったらこになる(餅がべちゃんこになる)。 |
べっとこ、 |
●最後、最下位、の意 。 |
●運動会じゃ、いっつもべっとこ(いつもビリ)。 |
べっぴん |
方言とまで言えるのかどうかは不明ながら、一応ここに挙げておく。美人の意。 |
じょうちゃんはべっぴんさんやなぁ(【女の子供に対して】君は奇麗だねぇ)。 |
へばる |
(1)【トイレの中などで】りきむ。 |
(1) バリュームちゅうなートイレでへばってもらくにゃーでんなぁ。 |
へも |
●顔面に多発する丘疹を指すもののよう。 |
へもができて顔にあばたがよーのこっとった(顔面に多発性の吹き出物が出来て【治った】跡のあばたが残った人がよくいたものだ)。 |
へん・変 |
この場合は「怪異」ほどの意味。 |
【肝試しを前にして】何のへんがありゃー(こわくないぞー、平気だぞー)。「へともねー」とも言う。 |
へんこつ |
頑固な。「へんくつ」とはあまり云わない。備前方面では「へんこつ」が一般的だが、備中方面では「こうじく」と云うようだ。 |
へんこつなやつじゃ(頑固者)。 |
ほーかす |
そのまま放置しておく。ほったらかす、に近い意味合いだったかと。 |
そんなもん持って帰らんでも、ほーかしときゃえーんじゃ。 |
ほーる |
投げる。同様の意味で「ほーり投げる(投げ投げる)」と言う場合がある。 |
「ほーる」には「捨てる」という意味は無い。 |
ほうず・ほーず |
際限、の意で「ほーずもない」という使い方をする。 |
●ほーずもねぇーことばーよーる(際限も無い事【途方もない事】ばかり言っている)。 |
ぼうずり |
亀の子タワシに三十センチばかりの長さの竹の柄がついた便器磨きの道具。 |
ぼうずりの写真 |
ぼうち・ぼおち |
●一説にいう。山中の境界に傍示(ぼーじ)を建てたので、それが「ぼうち」となった。 |
●備前では聞いた事がない。 |
ぼうりょう・ボウリョウ |
美作地方の古い方言で「蓑笠」の事。 |
薄暗い土間の柱に蓑笠が掛けられているのをみれば、それなりの気分が味わえるのかもしれない。 |
ほかる |
体が暖まる。「火照る」。自動詞のみ。 |
●【冬場で寒く暖房にも事欠く時】はしりゃーほかってええよ(走れば体が暖まっていいよ)。 |
ほき |
●保木あるいは歩危と書く事が多い。 |
●JR山陽本線で東へゆくと 吉井川の鉄橋を渡る事になる。鉄橋北側の吉井川西岸を保木という。 |
ほけ |
湯気。あくまで暖かさを伴ったものなので、霧やもやをほけとは云わない。 |
●(冬の寒い日に息をはくと)ほけが出るなぁ。 |
ほぜる |
何かを掘り出す、の意。 |
●鼻・耳の孔のゴミをほぜる。 |
ほだ |
焚き付け用の細い木。椎茸栽培に使うような太い木ではない。 |
【タバコに火をつけるために】火のついたほだをとってん(火のついた細い木を取って下さい)。 |
ほーだま |
ほっぺた |
「くちる」を参照の事。 |
ほたえる |
●喜び騒ぐ、の意。 |
久しぶりに帰ってきた御主人に飼い犬がまぶれつく様子を表現する言葉。 |
ほたほた |
皮膚のたるみ。たるんでプリンとした物。 |
例えば「お腹のたるみ・ほっぺたのたるみ・二の腕のたるみ」等。 |
ぽち・ポチ |
犬の名前ではない。服のボタンの事。 |
服のポチが取れとるねぇ。 |
ぼっけぇ・ |
●大変に、ひどい、すごい、偉い、の意、 |
●ぼっけえやつじゃ(すごい奴だ) 。【注意:「ぼっこうやつ」とは言わない】 |
ほっちらかす |
●放置する・途中で投げ出す。 |
てごーをほっちらかしたままーどけーいたんけーの(手伝いもせずに、どこへ行ったのかいな)。 |
ほてる |
●死ぬ。 |
えーやつじゃったにーほてっしもーて(いい人だったのに亡くなってしまって)。
|
ほとびる |
「水に浸かってふやける」の意。 |
●こめょーほとびるまで水にかしてーて(米がふやけるまで水につけておいて下さい)。 |
ぼとぼと・ |
ゆっくり・そろそろ。 |
ぼとぼと(ゆっくり)歩こう。 |
●「ほどよく」では無く「すっかり」の意。 |
【例】ほどようみててしもーた(すっかり無くなってしまった)。 |
|
ぼーれー |
ものすごい、ひどく、の意。 |
このバットはぼーれー高かったんぞな(もの凄っく値段が高かった)。 |
ほろせ |
皮疹 。 |
例えば、虫刺され、風疹・麻疹等の小皮疹 をほろせと云う。 |
ほ(んま)じゃのう |
本当ですねえ。 |
括弧内は省く亊が多い、あるいは、最初の、ほ、まで省く亊もある。じゃー・じゃーじゃー(そう・そうそう)。 |
ほん |
「はい」英語で"Yes."の意。 |
(1)「きにょーごっとんがでたんじゃてー(昨日泥棒があったんだってねぇ)。」 |
ほん |
本当に、という意味の副詞で後に来る語句を強調する。特定の動詞や名詞に接続し慣用句的に使われる。 |
(1) うちゃーあんたがほん好きじゃ(大好きです)。 |
ほんこ |
本番。 |
|
ぼんてん |
帽子の先に丸いものがついていれば、それを「ぼんてん」と呼ぶ。 |
確かカムイ伝という漫画の中に 、長い丸太の先端に御幣や白い玉を付けて引きずり廻す秋祭りが描かれていたような。それを「(梵天)ぼんてん」と云っていたかと。 |
ほんま |
本当、の意。 |
|
(1) そねーなこたー、なかるまー(そんな亊は無いだろう)。 |
||
●熱い液体をぬるくする 。差し水をする。 |
●茶ぁまえてー(【熱い】お茶に【水を入れて】さまして下さい)。 |
|
まくう |
●「巻く」の意。類語【「まくいつく・まくゐつく(巻き付く)」、「まくいあげる・まくゐあげる(巻き上げる)」等】 |
●むすびにゃー海苔をまくうんがええんじゃ(握り飯には味付け海苔を巻くのがいい)。 |
まくばる |
均等に(分ける・配置する)。 |
【田植えで稲を植えるには】もうちーとまくばってうえにゃーおえんが(あまり乱雑に苗を植えないように)。【子供にお菓子を与えて】まくばって分けてーよ(みんな同じように分けるんですよ)。 |
「こぼれる」の 意。 |
●バケツの水がまけてしもうた(バケツの水がこぼれてしまった) 。 |
|
まつ・松 |
岡山では嘘をつくと体から生えてくる植物。 |
岡山の諺に曰「嘘ばーつきょーると尻から松が生えるぞ」。 |
まつご |
松の枯葉。 |
【植物】 |
まつみどり |
松に寄生する植物。宿木(ヤドリギ)の事。その実を口で噛んで鳥モチとする。 |
【植物】 |
まとう |
(1) 人の性質で「(反応が)鈍い」の意。 |
としゅーとりゃーなにゅーするんもまとーなる(老人になると何事をするのもゆっくりとしかできなくなる)(あるいは、気が弱くなって何事もしようとは思わなくなる)。 |
まなり |
作物で二種類の形質を持つもの、あいのこ。 |
|
まばいい・まぶい |
●まぶしい。 |
暖こぅーなりましたなぁ。へぇ、まばゆぅなりました。【春の挨拶】 |
まひげ |
●まぶたの約2-3cm上にある毛を「眉毛(まゆげ)」と言い、 |
●昔の話だが、「ヒゲ」の話が出た折りに、ヒゲには顎髭と口髭がある、との話に、私達一同は異を唱えた。 |
まひょうしにあわん |
「役に立たない。」 |
まひょうしにあわんやっちゃー(役に立たない奴だ)。 |
まぶれる |
(1) まとわりつく |
(1) 犬がまぶれついとるがん(犬がまとわりついているよ)。 |
まや |
●備前では牛小屋の事。 |
|
まん |
運、の意。 |
まんがわりー(運が悪い) |
まんが |
大きな鉄の爪(30cm程度)が4-5本ついた木を牛に引かせて、鋤で掘り起こした土を細かく砕く道具。 |
【農業】 |
まんどう ・まんど |
お盆の行事。迎え火・送り火。 |
ぼににゃーまんどぅせにゃーおえん(お盆には迎え火・送り火をしないといけない)。 |
みさき |
●備前では江戸時代(明治時代では無い)の廃仏毀釈運動のあおりで民間信仰が弾圧されたためか、あまり見かけない。 |
|
みずかさ |
肌を長く水の中に浸けた後、手指などに出来る「シワシワ」の事。 |
|
みずかさぐも |
うろこ雲。大して意味は無いのですが、懐かしい言葉なので。 |
他にも「たかかさぐも」もありました。積乱雲だったかな?この「かさ」は多分「笠」でしょう。 |
みてる |
【消費して】無くなる、の意。out of stock. |
お菓子がみてたから、こうてこい(お菓子が無くなったから、買って来い) |
みやすい |
備中方言で「簡単」の意。訛って「みやしー」と発音する。simple |
●やしーことばーいわれな(簡単な事ばかり言わないで、もっと難しい事を言って下さい)。 |
ひばり・ヒバリ・雲雀、の意 |
春、むぎわらの間から飛び立つ鳥は「ひばり」でしたから。 |
|
むさんこ | むちゃくちゃ、の意。absurd 備中方言。備前北部の一部で使われる。備中の方では「むさんこう」と表記されているようだ。 「むちゃ」-->「むちゃこ」-->「むちゃんこ」-->「むさんこ」-->「むさんこう」このような変遷があったのではないかな。 同じ意味で「ごた」「ごじゃ」という言葉も使われる。 |
そねーにむさんこなことしちゃおえんぞな。 |
チクチクとした痛み。 |
腹がむしくしする。 |
|
むしくれ |
虫、の事。この「くれ」というというのは「土くれ」のように塊の意味だろう。 |
むしくれにも五分の魂。 |
むせる |
煙などに「むせる」のでは無く、蒸し暑い、という意味。 |
きょうはむせますなぁ(今日は蒸し暑いですねぇ)。 |
むちゃこ・めちゃこ |
めちゃくちゃ、の意。「むちゃ・むちゃんこ」「めちゃ・めちゃんこ」とも言った。 |
田の畦をむちゃこにしてしもーた。 |
むつごい |
脂濃い・しつこい。料理の味を表現する言葉のようで、香川県辺りの言葉。 |
個人的には昔から稀に聞く事はあったのだが、最近まで「残酷な」という意味だと思っていた。 |
めぐ・ |
壊す、壊れる、の意 |
機械をめいだな?しゃーけーど、めーからめげとったよ(機械を壊したな?でも、前から壊れてたよ) |
めたる |
湿気る、の意。 |
(1) 砂糖・塩がめたる、と言う。 |
めばちこ |
麦粒腫 |
|
もぐらもち |
もぐら、の意。備前でも岡山市に近いとこの言い方になるが、備前の北と東では「むぐろ」という言い方になるようだ。 |
でーこんがもぐらもちぃに取られるばぁする(大根がもぐらに取られるばかりする)。 |
もげる |
(1) (音程が)外れる。音痴の表現に。 |
声が、ぼっけー、もげるのー(声がひどく調子外れだな) |
もちーと |
もう少し、の意。 |
もちーとはよーあるきょーが(もう少し速く歩けるだろう)? |
動作が滑らかな様。 |
●よう、もとおるのー(よく喋るなぁ)。 |
|
もっとで |
もう少しで、の意 。 |
もっとで、ひかりょーった(もう少しで、轢かれる所だった) |
もどける |
巻が緩む事 。 |
●この柱時計はネジがもどけて動かんのじゃ(柱時計はゼンマイが緩んで動かないのだ)。 |
ものごっつい |
ものすごい、ものすごく大きい、の意。 |
ものごっちーやっちゃなー(ずば抜けた奴だな) |
ももける |
服にほつれができる・服がケバ立つ、の意。 |
|
ももた |
膝より上の脚部。「もも」の事。 |
子供が生まれるのは「ももた」の間から、という言い回しがある。 |
もんげー |
ものすごい、の意。別の箇所に記述しているが流行語になったのでここにも記載しておく。 |
|
や |
若い女性専用言葉。備前では言葉の最後が「じゃ」で終わるのが一般的だったが、若い女性の場合はよく「や・やわー」を使った。 |
|
やーんぴ |
「止めた -> やーめた -> やーんぴ」と変化したかと推定される。夕方になって遊びを止める時などに使われた。子供専用言葉。 |
|
やいと・ゐえと |
お灸。 |
わりーことばーしょーるとやいとーすえるぞ(悪さばかりしているとお灸をするぞ)。 |
やくに | わざと、の意。 アクセントは「く」にある。 備前北部の表現。 「わざに」を参照の事。 |
やくにしんさんな(わざとしないように)。 |
やげろーしい・ |
わずらわしい、の意。 |
やげろーしい奴っちゃ。 |
やこー |
●名詞の後ろについて、その意味を強調する。「なんか」の意。副助詞。 |
●おめーやこーいねー(お前なんか帰れ) 。 |
やすい・やすゐ |
簡単、の意 。 |
そねーな仕事はやすーすまぁ(そんな仕事は簡単に済むよ)。 |
やす |
人を行かせる。 |
●おなごーやすけーよーゆーて(家内を行かせるので、しっかり話をして下さい)。 |
やたて |
婿を迎えた女性の意。「家立て」 |
おとこきょーでーがおらんのじゃけー、おなごがやたてをせにゃーのぅ(男兄弟がいないのだから女性が婿を迎えないとねぇ)。 |
やっちもねー |
「らちもない」の強調形かと。「しょうもない・つまらん」の意。 |
|
やちがねー |
「やっちもねー」とよく似ている言葉だが、意味は違う。意見が食い違い、いくら議論しても平行線をたどる場合に、このように言う。いくら頑張っても意見の一致をみない、程度の意味になる。らちがあかない。 |
|
やねこい・やにこい |
しつこい、の意。岡山では田舎にわずかに残っているかも。備前では聞かない。備後地方では、まだ現役の言葉。 |
やねこい男やねー。 |
やまいぎたない |
病気に神経質だ。たいした症状でも無いのだが、それが気になる。 |
|
やますずめ |
ホオジロ。 |
【鳥類】 |
やまなすび |
なつはぜ |
【植物】 |
やゑえ・やうぇー | 「やわらかい」の意。 アクセントは「うぇー」。 現代表記では「やわい」となるのかな。 備中以西では「やおい」と云う。 山口県で「やおい」を聞いた時には当初意味が分からなかった。 |
このかきゃーやうぇーのー(この柿は柔らかいなぁ)。 |
ゆー |
(1) 「言う」を「ゆー」と発音する。 |
(1) よーゆーた(よく言った)。 |
ゆーかす |
言い聞かせる。 「ゆーてきかす(言って聞かす)」から「てき」が脱落したもので どちらの言い廻しも使用していました。 アクセントは「ゆー」にある。 |
【隣の家の窓ガラスを割った子供と一緒に母親が隣家の人に謝りに来て】 よーゆーかしとくけぇこらぇーてつかーせぇ(よく言い聞かせておきますから許してやって下さい)。 |
ゆぜる |
ゆでる、の意。 |
麺をひっさゆぜょーるとのびるけー(麺を長くゆでていると伸びてしまうんだから)。 |
ゆだつ |
沸騰する。 |
さゆがゆだちょーるがな(白湯が沸騰しているから何とかしなさい)。 |
ゆび |
「べにさしゆび」は薬指。 |
|
よーけぇ・ようけえ |
数が多い、の意。 |
昼にようけぇ食べたぞな(昼飯をたくさん食べました)。 |
よーさ・ |
夜、の意。 |
よーさり、出歩くな、あるいは、よーさに、出歩くな |
よーす・ |
籾摺(もみすり)の作業。 |
【農業】 |
よいたんぼ |
よっぱらい、の意。 |
昭和40年頃まではよく聞いた言葉だった。 |
ようよう |
なんとかかんとか、ようやく、やっと |
よーよー治った(やっと治った)。 |
よき |
【病気の】影響 |
●風邪のよきか、めまいがしてのう(風邪のせいかめまいがしてねぇ)。 |
よくぼる |
よくばる・欲張る。 |
よくぼるばーするけーバチがあたったんじゃ。 |
よこし |
横。アクセントは「し」にある。 |
|
よざん |
余計な、の意 |
「何を言いましたか?」と尋ねられて、「よざんごとじゃ(どうでもいいことだ)。」と使う。 |
よす・よせる |
【仲間に】入る/入れる |
|
よだつ |
これから先にしなければならない事を考えると大変だなと思って出る言葉。いろいろと準備をして、片づけなければならない。わずらわしい。 |
●よだつなー(いろいろと準備が必要だな)。 |
よばね |
ねしょんべん。備前でも南東部の言い方。 |
●そねーにみずものばーのみょーりゃーよばねょーしょーぜー(そんなに飲み物ばかり飲んでいては寝小便をするでしょう)。 ●よばにょーせまーか(寝小便をしはしないだろうか)。 |
よぼう | ●岡山では備中方言で「液体が垂れる」という意味。 備前では同じ意味なら「うだる」を使う。個人的には「よぼう」を「液体が垂れる」という意味で使った事は無い。 ●備前で「よぼう」というと「夜這いする」の意味で使っていた。 そのためか山口県などで「よぼう」を聞く機会が多いと、気恥ずかしくなってしまう。 恐らく、そのために備前では「よぼう」を使わなくなったのかと。 アクセントは「ぼ」にある。「ぼう」にアクセントを置くと「予防」になる。 言葉の適用範囲は「よぼう」よりも「うだる」の方が一般的で広い。「うだる」を参照の事。 |
わかものしーはちばけてばーでよぼーての事ばー話しょーる(若者連中はふざけてばかりで夜這いの話ばかりしている)。 *古語で人を呼ぶ意味の「よばふ」に「夜這う」とあて字をした物らしい。 |
よぼり |
毎年六月の梅雨時分の夜、増水した川や水田のほとりをカーバイトランプとヤス(三又の銛(もり))を持って歩き廻り、大型の魚を取る遊び。 |
確か1961年からでしたか、農薬が水田に散布されるようになったのは。それ以後、よぼりは行われなくなりました。 |
●標準語なのですが、発音が昔のものなので。 |
|
|
よる |
選ぶ。 |
よるばーしょーるけー、えーもんぉさらわれてしまうんじゃ(選ぶばかりしているから良い物を他人に奪われてしまうのだ)。 |
らく | 時間的な余裕がある。 アクセントは「く」にある。 |
【家を訪ねるのに際して】「楽ですか?(訪問しても時間いいですか?)」 らくな時に肩ぁ揉んでもらうーねー(時間がとれた時に肩を揉んでもらおう)。 |
らっしもねー |
(1) らしくもない。 |
らっしもねー格好すな(不格好なマネをするな)。 |
られー |
動詞の後ろについて、命令形となる |
|
らんちん |
ビー玉、あるいはビー玉を使う遊び。 |
らんちんしょーえ(ビー玉遊びをしましょう)。 |
らんとー(らんとう) |
正式には蘭塔墓と云い、美作から備前にかけて、戦国時代(元亀年間)から江戸時代(およそ亨保年間)の頃まで流行したお墓の形。豊島石と呼ばれる石で造られた観音開きの扉と上に屋根を乗せた墓石。加工しやすいが、もろい石で、値段も花崗岩よりも安かったとの言い伝え。時代の古い物ほど形が巨大になる傾向がある。時代が下るに連れて小型化し、一般庶民の墓として流行した。初期の物には文字の刻印は無いが、やがて蘭塔の内部に名前(正面)と没年(側面)を記載するようになった。幾つか考えられる理由があるが何故、蘭塔墓が廃れたのかはっきりとしない。時代が質素倹約を旨とする亨保の改革があった故かもしれないが、その頃から蘭塔を潰して単なる中空の六面体として、その上に大きな石柱を立て、その石柱表面に大きな字で故人の名前と没年を刻印する風が見受けられるようになった。 |
左記は一般論。個人的には、江戸時代も終わりの頃、嘉永年間くらいから蘭塔墓では無く、同じ豊島石で現在のような四角柱の墓石となる物をよく見かけた。 |
りっちんたー |
「じゃんけん」をする時のかけ声。つまり「じゃんけんぽん」。 |
半世紀ほど昔に聞いた、それも数回だけの事なので、どの程度の拡がりを持った言葉なのか不明。 |
●動詞の後ろに付いて尊敬を表す。 |
●きょうりんさる(来ておられる)。 |
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れんぎ |
●すりこぎ、の事。 |
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(1) 備前南部では「わざと」の意。 |
(1) わざにしょーるとばちがあたろーぜー(ワザとしていると罰が当たるだろう)。 |
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わや・わやく |
●むちゃくちゃ、の事。 |
わやばーゆーな(無茶を言わないで)。 |
わるい・ |
岡山では頭の鈍痛を「頭がわるい」と言い、これを「ズキズキする」頭痛とは区別していたようだ。そして後者の頭痛は「痛い」と表現した。 |
頭ぁわりーんかぁ(頭が重たいのか)? |
んせぇ・んせー |
●古い備前の言い方で動詞の連用形について命令を表す。 |
●しょいこをおぶっていきんせぇ(しょいこを背負って行きなさい)。 |
んでぇー |
例えば標準語で「鳥になりたいんだい。」とは自分の意見を強調している。 |
飯ごうでめしぃうむすにゃーこつがあるんでぇー(飯ごうでご飯を炊くにはコツがあるのよ)。 |
岡山の方言として取り上げられる言葉ではあるが、尋ね歩いても実際に確認できない言葉や、岡山で稀に聞かれる近隣の方言を以下に記す。
方言 | 意味 | 用例 |
あだくれる | 落ちる、の意。 未確認(南備中) |
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えずく | 嘔吐する、の意。 関西弁。岡山弁では「あげる」と言う。 |
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がじる | 何かを相手から取る・上前をはねる、の意。 以下の理由でこちらに記述。 どこで聞いたのか思い出せない。 |
【トランプで】あっ、そのカードがじらせて。 |
すらんこう | がめつい・人情味に欠ける、の意。 未確認(南備中) |
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たちまち |
「すぐに」という標準語としての意味では無く「とりあえず」という意味。 |
●居酒屋にて「たちまちビール」(とりあえずビール【を下さい】)。 |
とっぱあ | いきなりな、軽率な、の意。 以下の理由でこちらに記述。 未確認(美作) |
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とんぶ | 急、の意。 以下の理由でこちらに記述。 どこで聞いたのか思い出せない。 |
とんぶな話じゃ(急な話だ) |
ばんこ | ●ひじょうに、の意。 かなり新しい岡山発の方言。40代以上は知らないのぢゃないかな。 |
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ひょーたくる | ●冷やかす・からかう、の意。 かなり古い岡山の方言のようで、備前では聞いた記憶が無い。 |
「いらまかす」を参照。 |
まどう | 弁償する。 備前では聞かない。 関西方面から中国地方を経て九州地方まで広範囲に使用された。古語。 |
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参考文献
(*1) 岡山県邑久郡方言 岡山民俗叢書 時実黙水 1934年
(*2) 玉野市史続編 昭和47年
(*3) 日本の民俗33 岡山 土井卓治
(*4) 備中町史 民俗編 昭和45年
(*5) 日生町誌 昭和47年